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裏切り ページ30

「敦君達が無事だといいが.....」

太宰の指が結晶に触れる
二つの結晶体は、かたちを失い、ひとつの球体を形作った
生まれたのは瑞々しくも毒々しい、血の赤で彩られた輝くリンゴ
リンゴは、ひとりでに上昇し、能力を開花させた
吸収
ドラコニアの壁を埋め尽くす結晶体を、リンゴは貪欲に喰らい尽くす
内包する過剰な力が空間を圧倒する

「これに触れて消せば、すべてが終わる」

凛とした横顔には、決意と責任が滲んでいる
太宰の指が伸びる直前

ドンッ

太宰の背に何か(・・)がぶつけられた

「.........っ!」

太宰の両目が見開かれる
それと同時に、Aは手すりから飛び降り、太宰に近付いた

「云っただろ?
私の予想を超える者など現れない、と」

太宰の背後から、ドラコニアに入ってこられないはず(・・・・・・・・・・・・・・・・)の
澁澤龍彦の声がかかった
澁澤の手で鈍く光るナイフは、太宰の背に突き立てられていた
澁澤は笑い乍、ナイフをさらに深く差し込む

「計画が成就する瞬間に油断する程度の人だったんだね」

ナイフから手を離し、失望と嘲弄を込めて云う澁澤の背後では、
透明になったドラコニアの床とかべから膨大な異能結晶体が見えていた

「太宰さんが吸収したコレクションは、ほんの一部だったわけか......」

周りを見回してAは、そう言った

「鍵は....閉めた筈ーーーーー」

太宰が胸を押さえて、視線を扉と、扉の鍵を閉めた筈のフョードルと
最初からドラコニアに居たAに送った
フョードルは、ひどく面白そうな表情を浮かべている

「慥かに貴方は面白い......
でも、貴方よりも彼と手を組む方がずっと面白そうだ」

そう告げたAの背後にフョードルが歩み寄る

「成程....ここで裏切りか......」

「云ったでしょ
余興は多い方がいいと......貴方が余興ですよ」

フョードルとAは太宰と結託してなどいなかった
太宰とフョードルおよびA 対 澁澤ではない
太宰 対 澁澤とフョードルおよびAだ
フョードルは最初から扉の鍵などかけてはいなかった

「......それで次は、どうする」

太宰が床に倒れこむ

「次はない
目的の異能は見つけた......君だよ」

目を輝かせ、澁澤は床に倒れ伏す太宰を見下ろす

「最初から私の狙いは君一人だったんだよ」

太宰は呆れたように息を吐いた

「こんな果物ナイフじゃ痛いだけだと思ったが......毒か」

「致死性の麻痺毒だ」

太宰の異能結晶体→←探偵と鼠と傀儡師



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雪華 - ワンピース×たくっちのまぃの恋愛短編集をリクエスト来ましたよ!頑張って作って下さいね! (2018年10月8日 9時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - こんな作品を読んでいただき、ありがとうございます! (2018年10月7日 22時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - 初コメです!小説面白かったです!更新頑張って下さい! (2018年10月7日 21時) (レス) id: f267fe3bd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2018年10月7日 18時

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