『武装』探偵社 ページ19
「お前達は先に行け
奴は俺が食い止める」
「でも、国木田さん
自分の異能力になんて勝てるわけが……」
「勝てるかどうかではない
戦うべきかどうかだ」
「っ、……」
国木田の言葉に、敦は足を止めうつ向く
「俺は己に勝つ
何時だってそうしてきた」
国木田はそう言って、掛け軸の奥の壁を叩く
現れたのは、隠し棚
棚には、いくつもの銃火器が並べられている
「これって……」
「うちは『武装』探偵社だぞ」
国木田は、慣れた手付きで弾を装填し、敦に拳銃を渡す
「奴の能力では手帳サイズを超えた武器は作り出せん
俺が引き付けている間に、裏口から逃げろ」
そう言って国木田が手に取ったのは、スライド式散弾銃、レミントンM870
「急げ!」
「!」
緊迫した国木田の声に押し出されるように、敦は鏡花と駆け出した
敦と鏡花が探偵社から逃げ出した頃
坂口安吾は、拳を握りしめていた
異能特務課
その指令席で、安吾は立ち上がり、職員に問い掛ける
「異能者ナンバーA5158の居場所は掴んでいますか?」
「はい」
「メッセージをお願いします」
「なんと伝えますか?」
「……教授眼鏡に借りを返せ、です」
安吾は、追い詰めた声でそう告げた
敦と鏡花は、再び車に乗った
探偵社が入るビルが煙を上げている
暗い夜に、炎が煌めく
「……国木田さん、大丈夫かな」
「今の私達にとって先優先事項は、澁澤龍彦の排除」
「澁澤龍彦……」
ぼんやりと、敦は澁澤の名を繰り返す
「澁澤龍彦って、どんな奴なんだろ……
鏡花ちゃんは排除って云うけど……澁澤龍彦って奴がどんな悪い奴でも、必ず殺す必要はないよ
捕まえればいい」
敦の頭を砂色の長外套がよぎった
思い至ったのは、頼りになる恩人の姿
「そうだ……太宰さんを助け出せば、きっと何とかしてくれる」
「………」
敦の呟きに、鏡花は何も言わない
前を向く鏡花は、ひどく冷たい眼差しをしている
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雪華 - ワンピース×たくっちのまぃの恋愛短編集をリクエスト来ましたよ!頑張って作って下さいね! (2018年10月8日 9時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - こんな作品を読んでいただき、ありがとうございます! (2018年10月7日 22時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - 初コメです!小説面白かったです!更新頑張って下さい! (2018年10月7日 21時) (レス) id: f267fe3bd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2018年10月7日 18時