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街の異変 ページ15

聳え立つ高層ビル、巨大な赤煉瓦倉庫、歴史ある市庁舎、遠く伸びるベイブリッジ
白い霧に覆われた街は、妙に静まり返っているーーーーー人がいない
ただ白い霧が立ち込める、異様な雰囲気があった
そんな霧の街を、鏡花は堂々と歩いて行く
敦は、鏡花の後ろを恐る恐るついて行く
二人分の足音が石畳に反響する

「あのー、鏡花ちゃん」

ガシャン

「!」

敦が声を掛けたところで、轟音ーー大きなものが壊れた音ーーが響きわたった
音に反応して、鏡花が駆け出す
敦は鏡花を追い駆けた

駆けていった先、曲がり角の向こうにあったのは、信号機に衝突した車
車内に人の姿はない
誰が事故を起こしたのか?ーーーーー誰かが運転していた筈だ…なのに、何故

不吉な予感は止まらない

敦はふと目線を上げる
そこで見た景色に、敦は息を呑んだ

「鏡花ちゃん……」

敦の様子に気付いた鏡花が、同じように視線を上げ、目を見張る

「!」

その先では、数十台の車がぶつかり合い、道路の奥に固まっていた
敦と鏡花が見て回るが、車内、道路、裏道、交番、ファーストフードの店内、何処にも人の姿はない

まるで、突如として街から全ての人が消えてしまったかの様だ

白い霧が漂い、廃墟の様な街を隠す

ーーーーー出ていけ、穀潰し!

その声に、言葉に、敦の体が硬直する
聞こえる筈のない院長の声
周りを見るが、敦と鏡花以外に人影はない
だが、背後に気配を感じ、敦は勢いよく振り返った

ーーーーー天下の何処にも、お前の居場所などありはせんーーーーー

ゆらゆらと霧が立ち込め、院長の姿が霧に映る

「鏡花ちゃん」

背後にいる鏡花に呼び掛ける

「……強い殺気を感じる」

鏡花は身構え、鋭い声で呟く
目を凝らして一点を見詰め、駆け出す

「!…鏡花ちゃん!」

敦は振り切るように、鏡花のあとを追いかけた



派手に横転した一台の車
地面に血の跡が続いていた
道路の奥に続く血痕に気付いたところで、

ボキッ バキッ

音が聞こえた

血痕が続く奥、霧の向こうに『何か』がいる

敦の全身が総毛立つ
血痕の続く先はビルの入り口
『何か』は、ビルの中にいる
二人がビルに突入しようとすると、殺気が叩き付けられた
獣の唸り声がする

「!」

敦と鏡花が身構えた
闇の中で、獣の瞳が光る
獰猛な唸りと共に、獣が闇から飛び出し、ビルとビルの間を飛び移る
速すぎて獣の影しか見えない

判るのは、ただ巨きいということだけだ

異能の異変 <弌>→←霧



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雪華 - ワンピース×たくっちのまぃの恋愛短編集をリクエスト来ましたよ!頑張って作って下さいね! (2018年10月8日 9時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - こんな作品を読んでいただき、ありがとうございます! (2018年10月7日 22時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - 初コメです!小説面白かったです!更新頑張って下さい! (2018年10月7日 21時) (レス) id: f267fe3bd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2018年10月7日 18時

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