太宰と安吾 ページ12
太宰が店の外を出ると、夜風が太宰の肌を撫でた
雑多な景色に太宰は足を踏み出す
「太宰君」
太宰の背に、無機質な声が掛けられた
丸眼鏡に背広、学者風の外見をした青年、坂口安吾
かつて、ポートマフィアの情報員として太宰や織田と肩を並べて笑っていた青年
そして、実際のところはマフィアに潜入していた異能特務課の一人だ
「あぁ安吾、いたの？……飲みに来たのかい」
振り返らないまま、太宰が問い掛ける
太宰は、突然現れた旧友に驚く様子もなく、余裕さえ感じさせる笑みを浮かべている
「いいえ、仕事中ですから」
「仕事？」
「これです」
安吾がそう言ったと同時、黒い特殊部隊の小隊が十数人、気配も音もなく現れた
消音装置付きの短機関銃の群れが、正確に太宰の心臓を狙っている
銃の安全装置は外され、引き金に指が掛かっている
「澁澤龍彦をこのヨコハマに呼び込んだのは、あなたですね？」
「ｰｰｰｰｰ……」
太宰は、その言葉にゆったりと振り返り、冷たい眼差しで安吾を射貫いた
太宰のその仕草は、酷く悠然としている
取るに足らない塵芥を相手にするような太宰の視線
「このヨコハマで、異能者の大量自´殺を生む心算ですか？」
安吾は、自らの背後に一人の影が近付いていることに気付かない
気付かないまま、特務課の男達は太宰を取り囲む
その様子を見て、太宰は唇を歪めた
児戯を嘲るように笑う
瞬間、太宰の纏う空気が一変した
「私を捕らえられると思っているのかい？」
「！」
得体の知れない絶対的な恐怖に、安吾の背筋が凍りつく
秀麗な顔から発せられる悪意、怪物じみた気配、溢れ出す威圧感と深淵の闇
”この世にあってはならないもの„
酷薄な笑みは、安吾の見たことがない類いのものだった
安吾の背後から、不吉な白い霧がにじり寄る
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雪華 - ワンピース×たくっちのまぃの恋愛短編集をリクエスト来ましたよ！頑張って作って下さいね! (2018年10月8日 9時) (
レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - こんな作品を読んでいただき、ありがとうございます！ (2018年10月7日 22時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - 初コメです！小説面白かったです！更新頑張って下さい！ (2018年10月7日 21時) (レス) id: f267fe3bd0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱鷺の砂 | 作成日時：2018年10月7日 18時
