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昔と今 ページ11

「……安吾は来ないよ」

遠い昔の織田の呟きに、太宰は一人返答する

すでに色んなものが変わってしまっていた
織田は隣に居らず、安吾が後からやって来ることもない
太宰は誰を待つこともなく、ただ琥珀色の液体を見つめる

「織田作、君の云うことは正しい」

太宰はそう囁き、みずからのグラスを手に取った
グラスの隣には、赤と白の二色に彩られた薬らしきカプセルがある

「人を救う方が、確かに素敵だよ
………生きていくのならね」

太宰の手が、カプセルに伸びる
丁寧な仕草でカプセルを摘まみ、ゆっくりと唇へと運ぶ
甘い毒リンゴに口づける白雪姫の如く
毒々しい赤と清らかな白が、太宰の口の中へと消えた

カプセルを口に入れた太宰が、名残惜しそうに席を立つ

「じゃあ、行くよ…織田作」

別れを告げた太宰は、長外套のポケットから『何か』を取り出し、カウンターに置き、振り返ることなく、バーを去った

古いジャズの音に、靴音が重なる
やがて、靴音が聞こえなくなった後
カウンターには、グラスとともに『其れ』が残された
ーーーーーナイフの刺さった、赤いリンゴが

罪の果実は、甘美な腐臭を漂わせていた





一方、墓地を後にしたAは、或るビルの屋上に座っている

「………」

夜風がAの長髪を撫でる
Aは、パソコンを取り出し、電源を入れ、操作する

「……(探偵社の社員は、ただ一人を除いては全員異能力者か……)」

画面に表示されたのは、武装探偵社の異能力者の写真や情報

「各々の異能の潜在能力(ポテンシャル)は高いけど……探偵社にある道徳(モラル)と福沢殿の異能が邪魔をしている……か」

Aは、独り呟きパソコンを閉じた

「相変わらず、表と裏の差が激しいね……この街は」

Aは、誰かに問い掛ける様にそう言った

其処へ……

太宰と安吾→←友



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雪華 - ワンピース×たくっちのまぃの恋愛短編集をリクエスト来ましたよ!頑張って作って下さいね! (2018年10月8日 9時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺の砂 - こんな作品を読んでいただき、ありがとうございます! (2018年10月7日 22時) (レス) id: c2940fbcc7 (このIDを非表示/違反報告)
ユウナ - 初コメです!小説面白かったです!更新頑張って下さい! (2018年10月7日 21時) (レス) id: f267fe3bd0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱鷺の砂 | 作成日時:2018年10月7日 18時

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