130*餌付け作戦 ページ4
「すぅ〜〜はぁ〜〜...。」
大きな深呼吸。
緊張で流れる汗。
緊迫した空気。
「...よしっ!」
神経を集中させ、震える手でヤツをつかむ。
五秒...十秒...十五秒...
「...あぁぁぁっ!!もう無理っ!!」
堪えきれず、ついに芋虫を放り投げた。
私は今、日課であるチャコ鳥の餌やりをしている。
与作様の再生所に来てから随分と月日が経ち、最初は見ることも出来なかった芋虫を今では素手で触れるまでに成長した。
我ながらよくここまで頑張ったよ...うん
「ルナちゃん...触れるようになったって言ってもたったの十数秒じゃん...。」
通りすがりの鉄平さんが呆れ顔で的確に的を突く。
うぅっ...口で言うのは簡単ですよぉ...
「キュキュッ」
心の中で泣いていると、ちびちゃんのご機嫌な声が聞こえてきた。
芋虫をコロコロと転がして楽しそうに遊んでいる。
ほのぼのとした光景に思わず笑みがこぼれた。
「ふふっ!ちびちゃんは芋虫怖くな「ブチッ...ブチブチ」...えっ?」
筋繊維が引きちぎれる音が響く。
同時に芋虫の体液がピッと私の頬にかかった。
「え...えぇぇえっ!?」
あたり一面芋虫の体液まみれ。
その真ん中でちびちゃんは補食を続けていた。
何この殺人現場...いや、殺虫現場っ!?
「うっ...朝食べたトーストが...。」
目の前に広がる光景からほのぼのの欠片も感じられない。
モザイクが必要な程のグロテスクさに気分が悪くなる。
「がははははっ!ルナ、何てザマだ!ペットは飼い主に
似るっつう言葉はあてにならねぇな!!」
顔を上げると、与作様が面白そうに爆笑していた。
「むぅ...笑わないでくださいよぉ。」
お腹を抱えて笑う彼に頬を膨らます。
まさかちびちゃんが芋虫を食べるなんて...
「シャルロットは雑食性だ。果物や野菜はもちろん、肉、魚、虫も食う。」
与作様はそう言うと冷蔵庫から魚の切り身が乗った皿を
持ってきた。
匂いに反応してか、ちびちゃんの鼻がヒクヒクと動く。
「ほれ、ちび。食え。」
与作様に警戒してしばらく私の後ろに隠れていたちびちゃん。
しかし食欲に負けたのか、フンフンと匂いを嗅いだ後
おいしそうに食べ始めた。
「おいしいの?」
「キュア〜♪」
私の質問に幸せそうな声が返ってくる。
あらかた食べ終わるとお礼としてなのか、ちびちゃんは
与作様の手をぺろっと舐めた。
「やっぱり餌付けが効果的か!がははははっ!」
与作様はとても嬉しそうだった。
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なたなたまる - 文章はめちゃくちゃいいのにイラストがめちゃくちゃ残念… (2019年4月6日 21時) (レス) id: c9f0456c30 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 黒猫歳花さん» いえいえ!全然迷惑じゃないですよ!これからも何かあったらご指摘お願いします<(_ _)> (2018年10月26日 8時) (レス) id: 7d53de745b (このIDを非表示/違反報告)
黒猫歳花(プロフ) - にゃんこさん» ありがとうございます!ご迷惑お掛けして本当に申し訳ないです! (2018年10月26日 2時) (レス) id: e89c78e8b2 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 黒猫歳花さん» イラスト載せなおしました!ちょっとまだ準備中のものや載せきれなかったものもあるので、それはまた後日載せますね!楽しみに待っててください(*´ω`*) (2018年10月24日 22時) (レス) id: 7d53de745b (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 黒猫歳花さん» イラストの件はすみません(;´Д`)原因がわかったのですぐに直しますね!応援、ありがとうこざいます(*´ω`*)これからも頑張ります☆ (2018年10月24日 14時) (レス) id: 7d53de745b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃんこ | 作成日時:2017年4月29日 10時