少女の成長物語 with 再生屋コンビ 4

【てっぺ誕！ 2】 ページ30

「あのさ、師匠。」

「あ？何だ？」

師匠は薬が入ったフラスコから目を離さないまま返事をした。

俺は構わず話を続けようとするも、やっぱり
言葉が喉の奥につっかえてうまく出てこない。

「...何だよ、鉄平。」

いつまでも話し出さない俺に痺れを切らしたのか、師匠はフラスコから目を離して俺の方を見た。

「あ、あのさぁ...今日、何の日か知ってる？」

声を絞り出して放った一言は、果たして師匠に届くのだろうか。

「今日？...今日は別に特別なことは何もねぇだろう。」

...マジか...

マジかよ師匠ぉぉぉぉぉお！！！！

俺が１６の時までは毎年祝ってくれてたのに！

ちゃんとケーキだって買ってくれてたのに！！

その翌年からはパーティーまではしなかったけど

“鉄平！おめっとさん！また一つ年食ったな！！がはははっ！！”

とか嫌みったらしくも祝いの言葉は言ってくれたじゃぁぁぁぁん！！！

「...おい鉄平。どうした？様子が変だぞ。」

「もう！師匠なんて知らねぇっすよ！！」

師匠に期待した俺が馬鹿だった！！

だいたいあんな大雑把なオッサンが一々人の
誕生日を覚えてるはずがないんだ！！

もうこうなったら最後の希望は...

「た、ただいま戻りましたぁ...。」

「ルナちゃん！！」

やっぱりルナちゃんだよねぇ！

うんうん！ 心優しいこの子なら絶対オレの誕生日を覚えてくれてるはず！！

「ルナちゃん、あのさあのさ！！」

「ふぇぇ...な、何ですかぁ...。」

俺はルナちゃんの元へ駆け寄ったけど、彼女はだいぶお疲れの様子だった。

「どうしたの？そんなにヘロヘロになっちゃって...。」

「お買い物に行ってきたんですよぉ...でも階段がキツくてぇ...。」

ルナちゃんはそれだけ言うと、その場にヘナヘナと崩れ落ちた。

俺はさっと彼女の体を支えて、リビングにあるソファまで連れてってやる。

ついでにコップに水を注ぎ、ルナちゃに飲ませてやった。

「ありがとうございますぅ、鉄平さん。」

「どーいたしまして！」

まぁ、マザーウッドの階段は確かにキツいからねぇ

俺もガキの頃は疲労困憊しながら登っていったよぉ

「...ところでさぁ、ルナちゃん。」

「はい、何ですか？」

俺はルナちゃんに俺の誕生日について質問しようとしたけど、何か聞くことができなかったんだ。

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