141.スレ違イ、デシタ。 ページ32
低いトーンが耳に響く。
耳が色んな意味で、イタイ。
「大きな仕事を前に俺は
お前のことしか頭になくて
ナオミに謝って帰らせてくれ！
って頼んだんだよ！
あーーー…信じらんねぇ、俺…。」
唸りながら頭を抱える旦那様に
なんて言ったらいいのか…。
「でも、ナオミに事情言ったらさ…
"Oh!ソレハ早ク戻リナサイ！
奥サン、大事ニシナイ人トハ仕事出来マセーン！"
だってさ。
さすがアメリカ精神だよな。笑」
「うっ！ぶぇっ！」
「げ！何で泣き出すんだよ？」
「ご！ごめんなさい翔さん！！！」
「何が？」
「私、てっきり翔さんが浮気してるんだと思ってました！！」
「はっ！？」
「だってワイシャツに口紅つけて帰ってきたり
女物の香水の匂い纏って帰ってきたり…。」
「ナオミが毎回ハグするからじゃねぇか…
あの婆さんめ…。」
「寝言でナオミって言ってました。」
「うなされてたんだな。
つか、それで様子がおかしかったの？」
「…はい。翔さんを…
信じることが出来なくなってしまって…。」
「はぁぁぁぁぁ…。」
嫌われた。
きっと嫌われた。
でももう全て正直に話そう。
「最初は見なかったことにしよう、
気のせいって思うようにしてたんです。
でも…私の翔さんへの独占欲が…
どんどん疑う方へと向かわせて…。」
「なにそれ…。」
驚いた顔をして顔を伏せる。
やっぱり嫌われた。
もう終わりだ…。
「お前には悪いんだけど…」
わーーー、終わりだぁーーー！
「すげ嬉しい。」
「へ？」
「んだよ、それ…
ヤキモチ妬いてたってことだろ？
ナオミに。」
「はい…勝手に峰不二子を想像してました…。」
「あー、俺、気持ち悪！
ヤキモチ妬かれて嬉しいとか重！」
「翔さん？」
「俺は…
お前の様子がおかしくなったのが
俺が二宮に文句言った日からだったから…
それを怒ってるのかと思ってた。」
「え！？ナイナイ！
二宮せんせーとはちゃんと決着つきました。」
「決着？」
「はい！私からちゃんとお断りしました！」
「ってことは…
俺らお互いにヤキモチ妬きあって
勘違いしてたってことか…？」
「…みたい、ですね？」
お互い顔を見合わせて
「ふっははは！」
「あは！あはは！」
共同の病室なのに大声を出して笑ってしまった。
だって
もう我慢できなかったんですもん。
また好きが溢れて
どうにも我慢できなかったんですもん。
誤解が…解けたんですもん！
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2015年8月18日 22時
