赤色迷宮マリッジ♯4 (ページ29)

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138.信ジレナカッタ罰ページ29

走って10分くらいの駅で電車に乗り
そこから20分電車に揺られ駅を出ればすぐに
翔さんの勤めている商社が見えた。

一度会社に行ってから
社用車で成田空港へ向かうって言ってたから
まだ会社にいるはず…。

でも、さっき落として故障したスマホでは
翔さんに連絡することができない。

会社は目前なのに困り果てた私。

とにかく会社のエントランスまで足を運んだ。

その時_____、

「あれ？あれあれあれ？
いった…痛たたたた…お腹、痛い…」

走ってる時に感じ始めた腸の不快感が
ここに来てグッと大きなものになる。

「ぃった…」

冷や汗も出てきて
立っていることすらままならず
その場にしゃがみこんでしまった。

ハァハァと呼吸も乱れ始め
倒れるんじゃないかって思った瞬間、

「Aさん？」

と、あのサニースマイルの持ち主の声が耳に入る。

「あ…アイバチャン…さん…？」

「どうしたの！？
どこか痛むの！？」

アイバチャンさんは
慌てて私に駆け寄り身体を支えてくれた。

「アイ…バチャンさん…。
翔さんに…会いたいの…呼んでくれません？」

「え？でも…もう空港に向かっちゃったよ。」

「え…？」

間に合わなかった。

大好きなあの人の胸に傷を与えて
ナオミという女性と海外出張…。

ああ、やっぱりこれは罰だ。

翔さんを信じれなかった罰だ。

「翔…さ…ん。」

全身から力が抜けていく。

「Aさん！？Aさん！？
大丈夫！？ねぇ、Aさん！！！」

遠のく意識に
アイバチャンさんの声だけが聞こえていた。