赤色迷宮マリッジ♯4 (ページ26)

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135.ソレハ、無理。ページ26

「そんなの嘘ですよ…。
翔さんはやっぱり仕事のためだけに
私と結婚したんですよ！」

「は？」

私の心無い言葉に
翔さんの声のトーンは低くなる。

「だって私が英語堪能で
海外生活に支障なく生活できるから！
結婚してすぐに翔さんが英語の勉強してるの見て分かっちゃいましたもん！」

「何言ってんの？
TOEICの試験勉強してて何が悪いの？」

眉間に皺を寄せキャリーに掛けてた手を
私に向けるから…

パチン！

…と、

その手を払ってしまった。

「はぁ…。
意味分かんない…。
最近元気ねぇって思ってたけど…、
そんなこと？」

「そんなこと…って。」

怖くて身体がガクガクし始める。

「俺がお前を愛してないとでも思ってんだろ？
そう思うんなら、それでいいよ。
確かに仕事は大事だからな。
でも…」

～♪

こんな時に翔さんのスマホが鳴る。
一瞬出るのをためらったけど
電話に出る翔さん。

「はい…。
悪い…今すぐ行くってナオミに伝えといて。
ああ。よろしく。」

時が止まって
このモノクロの世界が
ガラガラと音を立てて崩れ落ち始めた。

ナオミと行くんだ…。
やっぱりナオミは会社の人で
アメリカではナオミとずっと一緒に過ごすんだ。

イヤだ。
イヤだ。
イヤだ。

「もう行くからな。
人、待たせてんだよ。」

「イヤ！！」

「マジでどうした？
お前はそんな困らすことを言うような女じゃなかっただろ？」

今まではそうだったかもしれない。
私だって無理してたわけでもなく。
どれだけ遅く帰っても
どれだけ家で仕事をしていようと
翔さんが頑張ってる姿はカッコよくて
それをサポートするのが嫁の務めだって思ってたから。

でも今回は…ナオミがいる。
それはサポートなんて出来ませんよ。

「これが本当の私です！
本当に私が好きなら行かないで！」

玄関を開けた翔さんに抱きつき
必死に止めるも…

「悪い…。
本当にお前が好きだけど
それは無理だ。
じゃ、行ってくる。」

翔さんの身体から腕をほどかれ
腕時計を見ながらタクシーに乗り込んだ翔さんを
ただただ見つめ
タクシーが角を曲がれば
私はその場に泣き崩れてしまった。

「…行かないで…翔さん…。
ナオミのところなんかに…行か…ないで…。」

この言葉を直接本人に言えてたら
よかったのに…。