110.アナタハ、イツカラ… ページ1
翔さんの発言に
目ん玉がこぼれ落ちそうなくらい
目を見開き、口は金魚の如くパクパク。
絵に描いたような仰天リアクション。
「え、だって、翔さんは仕事のため…」
「まぁ、その話は追い追い。な？」
シーッて
人差し指を私の唇に押し付ける。
ぅ、オエッ！
カッコよすぎて吐きそう！
コレをされると否応無く黙ってしまう。
カッコよすぎて。
って…また、はぐらかされた。
そんな私たちの間を割いて
二宮せんせーが吠えた。
チワワかと思ってた二宮せんせーが
ドーベルマンに変わる。
「…んだよ、それ？
それでアンタはこの人を幸せに出来てんのかよ！？」
吠えるドーベルマン相手に
翔さんは目を細めて威圧する。
「俺たちはまだ始まったばかりだから。
そんなことお前にとやかく言われる
筋合いはねぇよ。ただ…」
「ただ、なんだよ？ええ！？」
「お前の"守る"なんて自己満なだけ。
もし、お前のせいでおおごとになって
Aが学校を辞めることになったら？
Aから教師という大切なものを奪うことになったら？
それは"守る"どころか傷つけてるよな？」
「……。」
「俺ならこいつの大切なモノを守るのが愛だと思うけどな。」
「翔さん…。」
二宮せんせーはチワワに戻り
私も黙りこくってしまった。
だってビックリですもん…。
翔さんは私が思ってる以上に
私のことを考えてくれている。
さっきの"愛してる"だって
口から出まかせ、
売り言葉に買い言葉とか、
そうじゃなくて…翔さんは
本当に私のことを愛してくれてるのかも。
しれない。
…ううん、そう思いたい。
いやいや、そう思います！
ここはポジティブに。
でも…
翔さん…
あなたはいつから…
「ああ！悪かったな！ガキで！！」
それから少しの沈黙を破った二宮せんせーが
校内に入っていく。
それをただ見ていることしか出来ない。
また、私は
自分の口からは何も言えなかった…。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2015年8月18日 22時
