07.嫁ノ務メ ページ7
「俺が引き取った身体だし
責任とらねぇと。な？」
男性の割に綺麗で器用そうな指が
ツゥー…となぞりながら
おヘソから胸に向かって上がってくる。
「ささささ櫻井さん？」
あからさまに動揺する私に
超余裕そうな旦那様。
あ、そうだ。旦那様だった。
こんなコトするのもお嫁さんになった
私のお務めなんだ。
「あの…満足させれるか、
自身ないんですが！！
頑張ります！！！」
ええい！
私も女です！！
旦那様に愛される為、
この身を捧げます！！
寸胴ボディをどうぞ！！
目を閉じて覚悟を決める。
「…ブッフ！！
だから、タコを嫁にもらった覚えはないけど。」
「いたッ！？」
私のお腹をなぞっていた指が
デコピンをする。
「俺、今からやんないといけない仕事あるから
体力の無駄使いなんて出来ないの。
つーわけでオヤスミ。」
「へっ！？あれ！？」
「なに？一緒に寝たいとか？」
「そうじゃなくて…ですね…。」
そうだ。
自分の部屋があって
自分のベッドがある。
寝室が別。
ハナから一緒に寝る気がないんだ櫻井さん。
早くも、家庭内別居！？
「早く風呂入って寝ろよ。」
こ、これが初夜というやつですか…。
確かに私たちに愛はないけど…。
寸胴ボディのせいかな？
マギーだったら良かったのかな？
妻として求められないのは
少し悲しいものですね。
「お…やすみなさい。」
櫻井さんの身体がベッドから離れ
鍵のないこの部屋を出ようとするその時。
「あ、朝ごはんは
クロワッサンとゆで卵とコーヒー。
ちゃんと嫁としての仕事しろよ。」
嫁の…仕事…？
「おい、聞いてんの？
お前、今日から俺の嫁さんだろ？」
「は、はい！
承知しました！！」
「お前は家政婦か？」
少しだけ眉毛を下げて笑いながら
パタンと部屋の扉を閉めた。
嫁としての仕事…
頼まれちゃった…。
よぉし！
私、櫻井さんのお嫁さんを頑張ります！！
明日は5時起きだぁ！！
.
これが私たちの初夜というやつでした。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2015年6月26日 23時
