36.秘密ダヨ ページ36
机を叩いてまで笑ってた大野せんせーは
朝練をしていた生徒に呼び出され
私たちを残し職員室を後にする。
朝は割と忙しい。
欠席する生徒の親から電話が掛かってきたり。
授業に使うプリントのコピーだとか。
教頭先生のお茶とか。
でも今日はすっごく静か。
窓の外から雨の降る音が聞こえるくらい。
今この職員室には
私と二宮せんせー以外にもう2人先生方がいるけど
1人は朝練に行かれた様子。
1人は音楽準備室の鍵をもって職員室を出た。
結局二人きりになった職員室は
静けさがより一層増す。
私の机の上には
いろんなプリントが散乱していて
その中に来週の掃除当番の場所が書かれたプリントがあり目を通す。
そこには私と二宮せんせーが
中庭の草むしり担当と書かれていた。
「二宮せんせー、
私たち来週草むしり当番ですよ。
暑かったらどうしましょーね？」
只でさえ自分の事を"もやし"だとか言ってる二宮せんせーは絶対文句を言うに決まってる！
梅雨の湿気を帯びた柔らかいプリントを差し出し
左隣の二宮せんせーの方を向いた。
きっと、面倒くさそうな顔してるんだろう。
と、思いながら。
でも、そんな事はなかった。
少しだけ眉毛を下げ
涙袋がプックリした潤んだ瞳が微笑んでる。
それがすぐ目の前にあるから見間違いない。
そう。
二宮せんせーの顔が目の前にある。
それから一瞬だけ…
私の唇と触れた。
ような気がする。
そして彼はフフって笑いながら
自分の唇に人差し指を当てて
「秘密だよ、A？」
って首を少し傾けて言う。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2015年6月26日 23時
