30.愛サレタイ ページ30
泡タイプの石鹸で丁寧に手を洗っている間も
ジャーー…と水を流したまま。
静まり返った洗面所には
その水の音しか聞こえない。
聞かれて…ないよね？
動揺する私はきっと
目が泳ぎまくってたに違いない。
「一つだけ言わせてもらっていい？」
静寂を打ち破ったのは櫻井さん。
「なによー？」
「俺たちは爺さんたちが勝手に決めた
許嫁同志で結婚したかもしんないけど。
ずっと近くにいても結ばれなかったヒトより
深い縁で結ばれてたんじゃない？」
「…さ、櫻井さん？」
「はぁー？それ誰のこと言ってんの？」
「それに俺はコイツと結婚したくて
俺の意思でコイツを選んだの。」
ズキューン！
バキューン！！
完全に射抜かれた！！
こ、これがツンデレってやつですね！？
たまんないです！櫻井さん！！
「さ、櫻井すわぁぁぁぁぁぁん！！！」
思わずハグを求めて両手を広げると
拒否するかと思いきや
アッサリ受け入れて
腰より少し下に手を回し
ぐっと抱き上げられる。
なな何これ！？
欧米人がやるヤツじゃないですか！？
こんなことして許されるのは
アルマゲドンのリブ・タイラーだけですよ！
「ほら、お前は？
俺のことどう思ってんの？
聞かせて。」
抱き上げた私を見上げて
いつもより優しい声で尋ねる。
「わ、私は…」
「わーーー！わーーー！！わーーー！！！」
二宮せんせーがガヤガヤ始める中
おそらく…
ときめいてる？胸の内を伝える。
結婚は確かに自分の意志では無かった。
でも…
「櫻井さんに愛されるお嫁さんになりたいです。」
そう。
私はこの時
この人に愛されたいと願ってしまったのです。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2015年6月26日 23時
