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26.魔法ノ言葉 ページ26
「ここじゃ何だから、家に上がって貰えば？」
そう切り出したのは
まさかの櫻井さん。
いいんですか？
こんな可愛い生き物入れちゃって。
「あー、腹減った。
Aせんせー、ご飯食べさせてよ。」
だってほら、
こんなに甘えてくる。
この人だって一応男ですよ？
少しは心配とか…
ないな。
人の家なのに靴を脱ぎっぱなしで
世帯主様より先に入ってくる二宮せんせー。
その横でお行儀よく靴を脱いで上がる櫻井さん。
チラッと二宮せんせーを見たと思ったら
私の前に立って。
「ん。ネクタイ取って。」
「え？」
「着替えてくるからネクタイ、
いつもみたいに緩めて。」
いつもみたい。って…
したことないですけど？
「んなもん自分でやれやー。」
チッと舌打ちする二宮せんせーを見て
笑っている櫻井さん。
「コイツが取ってくれて初めて
仕事から解放されんの。
これが俺たち夫婦。」
ズッキューーーン♡
撃ち抜かれた！
この心臓の的の中心を！
それ、聞いたことない話だけど。
これがドキドキってやつ…かも！
したことのないネクタイ外しに悪戦苦闘。
結果、櫻井さんの首を絞めていた。
「ヘタクソ！！」
「ごめんなさい！」
で、結局は自分で緩めて私にこう言う。
「こーゆーのは、
同僚くんが帰ってからな？」
意味が分からなかった。
でもそれは魔法の言葉だったらしく
二宮せんせーは激怒。
私の手首を掴み
玄関から奥の部屋へと連れ込まれる。
ここ、あなたの家じゃないんですよ！？
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2015年6月26日 23時
