24.縁側ノ魔物 ページ24
ハッキリとは見えないの。
でも…
ザッ…ザッ…
って砂利の音が近づている。
いる！いる！
確実にいるよぉ！！
こっちに向かって歩いて来てるよぉ！！
慌てる私はコーラをひっくり返しながら
縁側のガラス扉を閉めて鍵を掛けるんだけど
パニックを起こしてるから手元が狂い
鍵が掛けれない。
こうしてる間にもそのヒトは
一歩、一歩と近づいている。
お、落ち着いて私！
ゆっくりやれば出来るでしょ！？
自分に言い聞かせるも…
「む、無理だぁーーーー！！！
た、助けてぇぇぇぇぇ！
櫻井さぁぁぁぁぁぁん！！！！」
施錠を諦めて家の奥へと逃げ出した。
縁側に背を向けた瞬間、
ガラスの叩く音がするから
ちょっとだけ振り向くとそのヒトは
ガラス扉にベッタリ張り付いて
顔がストッキング相撲かのよう。
も、恐怖！！
そして不細工！！
「ぎゃあああああああああ！！！！
へ、変質者ぁぁぁぁぁぁぁ！！！！」
腰を抜かしながら玄関まで走ると
そのタイミングで旦那様が帰宅。
神様！仏様！旦那様！イケメン様！！
「櫻井さぁぁぁぁぁぁん！！！！
え、縁側に変質者あぁぁ！！！」
「はっ！？」
恐怖のあまり涙と鼻水を垂れ流しながら現れた奥さんを不憫に思ったのか…
櫻井さんはドタドタとうるさく走ってきた私を
その腕の中でキャッチしてくれた。
そして抱きしめてくれるというオプション付き。
「大丈夫？」
更には優しさも付けてくれる。
ぐふぅ…カッコいい。
どさくさに紛れて私からも抱きしめてしまおう。
すごい筋肉質な身体…。
スーツの上からじゃ全然分かんなかった…。
そして…いい匂い。
安心する。
「怖かったです…。」
「ん、1人にして悪かった。」
あれ？
なんだか優しいぞ。
あれー？
心臓の鼓動が早くなってる…
私も…。
…櫻井さんも？
そのすぐ下で見上げて見たイケメンな顔は
優しく艶っぽく。
少しずつ
私の顔に近づいてるような気がした。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2015年6月26日 23時
