17.誤魔化シヤガレ ページ17
「わっ！嬉しい！
私と同じ感性をお持ちで！
でもコレ備長炭に似た玉子焼きなんですよ！」
なんて誤魔化す。
多分、誤魔化し切れてないけど。
「…そんな高級なもんでもねぇだろ。
って…は？玉子焼き？
どうしたらこんなに焦がせるんだよ？」
やっぱり誤魔化せなかったぁ。
そっと木炭と呼ばれた可哀想な玉子焼きを
片付けようとお皿に手を伸ばすと
同時に櫻井さんがその木炭を一口食べた。
え？食べた？
えええ！？
食べ物じゃないのに食べた！？
「すげぇな。
本当に炭だぞ。」
わーい褒められた♡
って、ならないよね？
どう反応すればいいの！？
「ご、ごめんなさい…。
実はゆで卵が上手く作れて調子こいて
レベル2に足を踏み入れてしまい瞬殺です。」
「ゆで卵…出来たんだ？」
「あ、はい。」
殻を剥いて冷蔵庫に入れておいた
ゆで卵を取り出すと櫻井さんは
その中の一つを手に取り一口で食べてしまった。
「…悪くない。
次は半熟のやつな。」
「え！？え！？
はい！！頑張ります！！」
思いがけない言葉に
思わず声を大きくして返事をしてしまった。
嬉しくて舞い上がりそう！
「あー…ちょっと食べたらやっぱり腹減るな。
俺の分もレトルトカレー用意してよ。」
そう言って冷蔵庫から缶ビールを取り出し
また一つゆで卵を手に持った。
「あれ？櫻井さん…
夜ご飯要らないって…。」
「夜10時以降の帰宅時は
ご飯は食べないようにしてるだけ。
次の日顔が浮腫むから。」
「今日は？」
「ゆで卵に負けた。」
その言葉がどうしようもなく嬉しくて
ニヤける顔を必死に隠す。
「何ニヤけてんだよ？」
バレてたけど。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2015年6月26日 23時
