226.いつもの"おかえり" ページ6
数週間前に替えたジャグジー。
に、服を着たまま入れられた私。
「ちょぉっと！！
何すんのよ！？」
「こっわ！笑
言うことを聞かないからでしょ？
ほら、顔見せて。」
顔に掛かっている前髪をかき上げて
ほっぺをムニュっと押える。
「おかえり。」
いつもの"おかえり。"…。
鳥肌が立つくらい嬉しくて
視界がボヤける。
「お、おかえり！ニノナリ！！」
慌てて自分もおかえりって言うと
ふふっと笑われ
シャツのボタンをひとつ…ふたつ…と
はずされていった。
あっという間に服は脱がされ
ビッタビタのスーツ一式は
ボトッと音を立てて落とされる。
それから円形のジャグジーで横に座り
窓の外の夜景を2人で見ながら
左にいるニノナリは私の肩に腕を回し
髪の毛をスゥーと溶いては
毛先をクルクルっと遊ばせる。
刹那の幸せ。
ニノナリの肩に頭を預けて
北海道はどうだったかなんて会話を始めた。
「ススキノ。」
「はぁ！？」
「…に役員のおっさんどもが行こう行こう
うるさくてさぁ…。」
「行ったの？」
「おい！お前キツネ！
チベットスナギツネみたいな目してるぞ！
ブタゴリラスナギツネ！！」
その言葉にまたチベットスナギツネだわ！
てか、なに！？
人が悩んでる時にアナタ、
ススキノの蝶とお戯れしてたんか！？
「それは断わってJと函館の夜景を見に行った。」
「男同士で！？笑」
今度はニノナリがチベットスナギツネの目。
「ここもイイけど函館の夜景、
すっげーのよ。
今度はお前と見たいなって思ったらさ、
無性に寂しくなって。」
「寂しがり屋だもんね？」
「お前もな？」
私は寂しがり屋なんてレベルじゃないよ…。
二宮和也依存症。
それなのに…
私はこの手を手放すかもしれない…。
「今度は一緒に見よう、な？」
今度…
未来の約束は…
「行けたら、ね？」
曖昧な返事に眉間に皺を寄せ
「一緒に日本三大夜景制覇しよう、な？」
と更に未来の約束を増やす。
未来のことなんて…
分からないのに。
嬉しいはずのお誘いに
胸が悲しいほど苦しくなる。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2015年6月11日 6時
