247.産んでくれてありがとう！ ページ27
その週末。
ニノナリと私は
結婚報告の挨拶回り。
まずは私の実家。
お母さんは"イケメンバンザイ"とかもー、
恥ずかしいこと言ってアッサリ受け入れてくれたけど
ここに来てお父さんが微妙な反応を見せた。
まぁ…父親だしね。
と、
思ったら…
ニノナリが手土産のタラバガニを出した瞬間
"タラバガニバンザイ"とか言って
私はカニ2匹と引き換えに結婚を許してもらえた。
うちの親、酷すぎ。
.
そのままニノナリの父親の家にも挨拶に。
まぁ豪邸で観光地に来た人みたいにキョロキョロしちゃった。
それからお父様と呼ばれる方は
紛れもなくニノナリの父親だって
誰が見ても一目瞭然。
"和也をどうかよろしくお願いします"
と頭を下げられ号泣してしまう。
うちの親と違いすぎて。
.
広いお屋敷の帰りに1人の女性とすれ違う。
ニノナリは軽く会釈をし
"この度結婚することになりました"
と言うと
その女性は
"愛され上手は親譲りね。
まぁ、お幸せに"
と興味なさそうに去っていった。
美人だけども冷たい氷のような人。
でも…それなりに事情はあるんだって
複雑なこの家の関係を思ったら
深く考えないようにした。
大野さん…
少しだけあなたの苦しみが分かった気がしたよ。
.
最後に
ニノナリのお母さんに逢いに。
生前お義母さんが好きだったと言われる
マーガレットの花束を抱え
街が見下ろせる見晴らしのいい高台に
お義母さんはいた。
「和子ー、嫁さん連れてきた。」
水桶からひしゃくで水を掛け
お墓を綺麗にしマーガレットと線香を備える。
それから2人で手を合わせ結婚の報告。
「和子が出来なかった幸せ、
俺だけしちゃうけどいい？」
「"いいわよー"」
「裏声で和子役すんなや！」
「だって！
子供の幸せを願わない親がどこにいんのよ！
変なこと訊かないの！」
「そうだな。
じゃ、
俺たち結婚して毎晩子作りして
幸せな大家族目指します！」
「要らない報告もあるけど！」
くふふ…と笑うニノナリの隣で
私はどうしてもお義母さんに
言いたかったことを言った。
「どんな辛いことがあっても…
最愛の人を産んで下さって
本当にありがとうございました。」
お義母さんは想像もつかない
苦労をしてきたんだろう。
それでもこんなに立派な子を産んで育てて
心から尊敬できる人。
「ありがとう。」
ニノナリもお母さんに向かって
そう呟いた。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2015年6月11日 6時
