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それからはずっと沈黙が続いた。
だけど、家に着いて紫音が起きてしまえばそうもいかなくて、人見知りを全くしないこの子はしげに興味津々。
「しげー!」
「そー。しげちゃんやでー」
「やでー?」
「あー、関西弁な。しげちゃんは外国人やからお話の仕方違うねん」
しげもそんな紫音が可愛くて仕方ないのか、ちゃんと相手をしてくれてる。ただ会話の内容がおかしいのには、めんどくさいから触れないでおこう。
それからしばらくしげの肩によじ登ったり、高い高いをしてもらったりして遊んでもらって、紫音も満足そうで何より。
「紫音、そろそろお風呂だよー」
「しーくん、しげと入る!」
「え?もー、それは無理だから」
「なんでぇ?」
「いや、だって、」
なんでたった1時間くらいでそんなに仲良くなってるの。そこまで簡単に心を開かれると、この先不安なんだけど。変な人に連れてかれたりしないでよ。
「あー、Aがええなら俺はええけど、」
「いやでもさすがに悪いよ」
「やだ!しーくんしげがいいの!」
「えー、なんでそんな懐いてるの」
「紫音、かぁちゃん困らせたらあかんやろ?」
「やなの!!」
こうなった紫音は何を言っても聞かない。本当に妙なところ頑固なんだよなぁ。
ただ気心知れた存在とは言え、4年ぶりの再会のしげにそこまで頼ってしまうのは申し訳ない。
「よし、わかった!一緒には入れへんけど、頭洗ったるわ!それならええやろ?」
「うんっ!」
「Aもええやろ?」
「本当にいいの?」
「ええって。むしろなんかごめんな?」
「ううん。こちらこそ。申し訳ないけどお願いね」
キャッキャと喜ぶ紫音を横目にしげがこっちにやってきて、本当に申し訳なさそうな顔をして謝るから、ああこの人の優しさは相変わらずなんだなと思った。
むしろすごく大人になってて、時の流れを感じさせるほど。
「ご飯も食べてって」
「ええの?」
「うん。紫音もしげがいたら嬉しいだろうし」
「ありがとう」
ニカッと笑ったしげに少しだけ心臓が跳ねた。
ああ、そう言えば男の人とこんな風に話すのなんて久しぶりだな。
この人といる安心感には4年の壁はなかった。
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aoi(プロフ) - チサ様 HPにも足を運んで下さってるなんて、ありがとうございます。ネタが被らないように頑張って書きたいと思います。またお時間のある際にお越し下さいませ(^_^) (2016年11月13日 13時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
チサ(プロフ) - HPの方も読ませていただいてます。こちらの作品もとても面白いです!更新頑張ってください(^o^) (2016年11月9日 2時) (レス) id: 8682789ece (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - はるち様 コメントありがとうごさいます。ハッピーなシーンも書けるよう頑張ります(=^x^=)ぜひまた見に来て下さい! (2016年9月22日 22時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
はるち - めっちゃ面白かったんですけど、少し切ないですね(T^T)これからも頑張れんれんo(^o^)o (2016年9月18日 22時) (レス) id: fb4b4f2984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aoi | 作成日時:2016年7月27日 1時