検索窓
今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:82,810 hit

10 ページ10

それからはずっと沈黙が続いた。

だけど、家に着いて紫音が起きてしまえばそうもいかなくて、人見知りを全くしないこの子はしげに興味津々。


「しげー!」

「そー。しげちゃんやでー」

「やでー?」

「あー、関西弁な。しげちゃんは外国人やからお話の仕方違うねん」



しげもそんな紫音が可愛くて仕方ないのか、ちゃんと相手をしてくれてる。ただ会話の内容がおかしいのには、めんどくさいから触れないでおこう。

それからしばらくしげの肩によじ登ったり、高い高いをしてもらったりして遊んでもらって、紫音も満足そうで何より。


「紫音、そろそろお風呂だよー」

「しーくん、しげと入る!」

「え?もー、それは無理だから」

「なんでぇ?」

「いや、だって、」


なんでたった1時間くらいでそんなに仲良くなってるの。そこまで簡単に心を開かれると、この先不安なんだけど。変な人に連れてかれたりしないでよ。


「あー、Aがええなら俺はええけど、」

「いやでもさすがに悪いよ」

「やだ!しーくんしげがいいの!」

「えー、なんでそんな懐いてるの」

「紫音、かぁちゃん困らせたらあかんやろ?」

「やなの!!」



こうなった紫音は何を言っても聞かない。本当に妙なところ頑固なんだよなぁ。

ただ気心知れた存在とは言え、4年ぶりの再会のしげにそこまで頼ってしまうのは申し訳ない。


「よし、わかった!一緒には入れへんけど、頭洗ったるわ!それならええやろ?」

「うんっ!」

「Aもええやろ?」

「本当にいいの?」

「ええって。むしろなんかごめんな?」

「ううん。こちらこそ。申し訳ないけどお願いね」



キャッキャと喜ぶ紫音を横目にしげがこっちにやってきて、本当に申し訳なさそうな顔をして謝るから、ああこの人の優しさは相変わらずなんだなと思った。

むしろすごく大人になってて、時の流れを感じさせるほど。



「ご飯も食べてって」

「ええの?」

「うん。紫音もしげがいたら嬉しいだろうし」

「ありがとう」



ニカッと笑ったしげに少しだけ心臓が跳ねた。


ああ、そう言えば男の人とこんな風に話すのなんて久しぶりだな。


この人といる安心感には4年の壁はなかった。

11▽重岡side→←9



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
128人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

aoi(プロフ) - チサ様 HPにも足を運んで下さってるなんて、ありがとうございます。ネタが被らないように頑張って書きたいと思います。またお時間のある際にお越し下さいませ(^_^) (2016年11月13日 13時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
チサ(プロフ) - HPの方も読ませていただいてます。こちらの作品もとても面白いです!更新頑張ってください(^o^) (2016年11月9日 2時) (レス) id: 8682789ece (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - はるち様 コメントありがとうごさいます。ハッピーなシーンも書けるよう頑張ります(=^x^=)ぜひまた見に来て下さい! (2016年9月22日 22時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
はるち - めっちゃ面白かったんですけど、少し切ないですね(T^T)これからも頑張れんれんo(^o^)o (2016年9月18日 22時) (レス) id: fb4b4f2984 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:aoi | 作成日時:2016年7月27日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。