8 ページ8
しげは何も言わずに私の手を離した。
ダラリと力なく垂れた手は、掴まれていたところが妙に熱い。
「さよなら」
その言葉にまた腕を掴まれた。
だけど、言葉はない。
「しげに何ができるの?」
「っ、」
「アイドルである、芸能人である重岡大毅に、何ができるの」
「それでもっ!」
「重岡大毅隠し子か、シングルマザーと熱愛か、そんな記事が出ても知らないよ。」
「友だちの子どもやって言えば!」
「シングルの女の子ども。友だちって言ってファンが信じてくれる世界じゃないでしょ?」
「これはお前だけが背負うべき問題じゃない」
「しげが背負うべき問題でもない」
「それは、そうやけど、」
「お願いだから邪魔しないで。しげの気持ちは嬉しいけど、迷惑なの。それこそ撮られたりしたらあの子にも影響が出る。それに、存在を知られてしまうかもしれない。それだけは、できないっ、」
「お前、今でも、」
そう言ったしげの言葉を鼻で笑った。
何幻想抱いてるの。
そんな訳ないじゃない。
「あの人は、私にとって忘れたい過去よ」
「相変わらず嘘が上手いな」
「最高の褒め言葉ね」
「でも、知ってしまったからにはこのまま知らんふりはできん。俺がそう言う奴やって知ってるやろ」
「はぁ、だから!」
「俺のことまで遠ざけるならバラすぞ」
「っ、最悪な脅しね」
全く面倒な人に捕まってしまった。
こうなったこの人を止められないのは4年前に嫌という程体験してる。
ああもう!どうしろって言うのよ。
「とりあえずお迎え行かなあかんのちゃう?」
「ついて来る気?」
「もちろん」
「仕事は?」
「今落ち着いてるねん。しばらく映画もドラマもないから。」
「はぁ、」
昔と変わらないニコニコした笑顔で私の後ろをついて来る彼を憎めないのは、きっとこの人の人柄のせい。
まるで3年前に戻ったみたいだ。
128人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aoi(プロフ) - チサ様 HPにも足を運んで下さってるなんて、ありがとうございます。ネタが被らないように頑張って書きたいと思います。またお時間のある際にお越し下さいませ(^_^) (2016年11月13日 13時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
チサ(プロフ) - HPの方も読ませていただいてます。こちらの作品もとても面白いです!更新頑張ってください(^o^) (2016年11月9日 2時) (レス) id: 8682789ece (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - はるち様 コメントありがとうごさいます。ハッピーなシーンも書けるよう頑張ります(=^x^=)ぜひまた見に来て下さい! (2016年9月22日 22時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
はるち - めっちゃ面白かったんですけど、少し切ないですね(T^T)これからも頑張れんれんo(^o^)o (2016年9月18日 22時) (レス) id: fb4b4f2984 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:aoi | 作成日時:2016年7月27日 1時