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「A!!ただいま!!」
嬉しそうに帰ってきた紫耀は、部屋に入ってきた瞬間キッチンにいる私の前で尻尾をフリフリ。
ああ、褒められたいんだなぁ。目がキラキラしてる。
「おかえり」
「俺ちゃんとAのこと見ずに頑張ってたやろ?!」
「ふふ、うん。カッコよかったよ」
「ほんま?!」
「うん。でも、あんなカッコいい紫耀を他の人も見てるなんて妬いちゃう」
本当もうどうしてくれるの。紫耀のせいで胸の中はぐちゃぐちゃよ。
だけど、そんな気持ち全部隠して笑うって決めたの。信じてついていく。それだけ。
「紫音!にぃに帰ってきたよ」
紫音「にぃにー?おかーりー!」
紫耀「ただいま!しーおんっ!」
紫音「あのねー、いまねー、かめんらいだーみてたの」
紫耀「ほんまぁ。ほな一緒に見よか」
この生活を手放す勇気も、全てを捨てる勇気もない。
守りたいの。全部全部。
紫音も、紫耀も、ふたりの夢も未来も。
私に何ができるだろうか。
「ねぇ、もうすぐご飯だから先にお風呂入ってよ」
紫音「やぁの!らいだーみてから!」
紫耀「俺も寝る前でいいー」
「もう!似た者同士なんだから!」
紫耀「ふふっ、しゃあないしゃあない」
いつもそればっかり考えて、でも答えはいつも同じ。
何もできない。私は、何もできない。
それがいつも悔しい。
紫耀「手伝うで」
「…ありがと」
紫耀「どした?」
「ううん。なんでもないの」
紫耀「不安になっちゃった?」
「どうして?」
紫耀「Aはアイドルしてる俺を見るといっつもそんな顔する」
「え、」
紫耀「不安で、寂しくて、でもそれ我慢して笑ってる。」
「そんなこと、」
紫耀「なくないよ。我慢なんてしなくていいの。もっと言うて?俺のこと頼って?俺はアイドルの前にAの恋人なの」
ねぇ、やっぱり悔しい。
いつの間にそんなに大人になったの。
「わたし、紫耀と一緒にいていい?」
紫耀「当たり前やん。いてくれなきゃ困る。俺がAといたいの。Aがいなきゃダメなの」
ねぇ、紫耀。やっぱり不安だよ。多分ずっと不安なの。
だけど、あなたがそうやって言葉をくれるたびに少しだけ安心できるの。
紫耀「何回でも言うよ。俺にはAと紫音が必要だって」
「うん、」
紫耀「ほら、ご飯にしよう。紫音が待ってる」
こんなにも不安なのに、あなたで良かったと思えるんだから、愛って不思議だね。
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aoi(プロフ) - チサ様 HPにも足を運んで下さってるなんて、ありがとうございます。ネタが被らないように頑張って書きたいと思います。またお時間のある際にお越し下さいませ(^_^) (2016年11月13日 13時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
チサ(プロフ) - HPの方も読ませていただいてます。こちらの作品もとても面白いです!更新頑張ってください(^o^) (2016年11月9日 2時) (レス) id: 8682789ece (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - はるち様 コメントありがとうごさいます。ハッピーなシーンも書けるよう頑張ります(=^x^=)ぜひまた見に来て下さい! (2016年9月22日 22時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
はるち - めっちゃ面白かったんですけど、少し切ないですね(T^T)これからも頑張れんれんo(^o^)o (2016年9月18日 22時) (レス) id: fb4b4f2984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aoi | 作成日時:2016年7月27日 1時