愛してるだけじゃ足りなくて

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「…無理だよ、」







本当は、一緒に生きたい。



言葉にならない言葉が、涙となって溢れ出す。



身体中が、この人を求めてる。



触りたい。



温もりを感じたい。



愛して欲しい。



だけど、だけど、だけど、








「嫌や。離さん。絶対。もう離れん。」



「…っ、」



「逃がさないから。拒否なんて、させん。俺が一緒におるって決めた。俺は、Aと生きる。」




身勝手な紫耀の言葉は、彼の最大限の優しさだった。




「なに言ってるの、」


「お前と紫音がいてくれたら、それだけでいいよ」




そんなことを真っ直ぐに言われて拒絶できるものならしてみたい。



できるわけないじゃない。





「しょ、おっ、」


「うん」





後悔するかもしれない。



突き放せば良かったと思うかもしれない。



それでももう、捕まってしまったんだ。




「全部俺のせい。俺が決めた。俺がお前を放せへんのが悪いんや」


「ちがう、ちがうよ…わたしがあなたがいなきゃ生きていけないの」




ふたりで泣きながら抱き合った。



未来なんて決して明るくない。むしろ不安しかない。それでも、どうしても、もうこの人のいない明日を想像できない。



神様どうか弱虫な私を許して下さい。


どうかどうか、この人の夢だけは奪わないで下さい。


どうかどうか愛しいあの子を傷付けないで下さい。



「愛してるよ」


「わたしも、愛してる」





愛がすべてを救って下さいますように。

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