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紫音を寝かしつけて、リビングに戻ればソファに紫耀が座ってる。


引き寄せられるようにその隣に座れば、少し驚いたような表情。


甘えたい。もう無理だと全てを投げ出したい。そんな最低な母親の私。


しばらくはどちらも言葉を発することができなかった。







沈黙を破ったのは紫耀だった。




「A」

「ん?」

「Aっ、」

「な、によ、」

「Aっ、」





紫耀はただ、泣きながら私の名前を呼び続けた。


何度も何度も苦しそうに名前を呼ぶから、思わず触れそうで触れていなかった手を握ってしまった。





「紫耀」





その瞬間、肺に広がる紫耀の匂い。全身が温もりに包まれる。



ああ私、抱きしめられたんだ。



求めることなんて許されないはずなのに、その禁忌を犯したのは私だ。




「好きや、今でも、好き」

「…っ」

「いや、愛してる。分からんわ、やばいくらい好き」




鼓膜を震わせるか細い声は麻薬のように私の脳みそを刺激して、感情を揺さぶる。


だめだ、ふり払え、と思うのに、その背中に腕を回してしまう。



本能と理性が、強烈にぶつかり合う。





「気持ちだけじゃ、だめななよっ、」





理性が言う。




子育てはそんなに簡単じゃない。





アイドルという仕事に妻も子供も必要ない。






「俺は、愛を捨ててまでアイドルを続けていこうとは思わん。アイドルじゃなくたってこの世界では生きていける」





本能が言う。




この人について行きたい。




共に生きたい。




「や、めてっ、」

「俺は本気でジャニーズを辞める覚悟は出来てる。」




ねぇ、それ本気?




心からそう思ってる?




だったら、そんなこと言うな!って殴ってしまいたいくらいにムカつくけど、涙が溢れ出るくらいに嬉しいの。








「やからもう一度、俺と生きて下さい」







ああ、なんて殺し文句だ。



今ならこのまま笑ってさよならできるくらいに、幸せかもしれない。



時間よ止まれ。今よ永遠に続け。


あり得ないと分かっていても、そんなことを願ってしまった。

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aoi(プロフ) - チサ様 HPにも足を運んで下さってるなんて、ありがとうございます。ネタが被らないように頑張って書きたいと思います。またお時間のある際にお越し下さいませ(^_^) (2016年11月13日 13時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
チサ(プロフ) - HPの方も読ませていただいてます。こちらの作品もとても面白いです!更新頑張ってください(^o^) (2016年11月9日 2時) (レス) id: 8682789ece (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - はるち様 コメントありがとうごさいます。ハッピーなシーンも書けるよう頑張ります(=^x^=)ぜひまた見に来て下さい! (2016年9月22日 22時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
はるち - めっちゃ面白かったんですけど、少し切ないですね(T^T)これからも頑張れんれんo(^o^)o (2016年9月18日 22時) (レス) id: fb4b4f2984 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoi | 作成日時:2016年7月27日 1時

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