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今日も保育園に息子を送り届けて会社に向かう。どこかの路線が遅れてたのか、いつも以上の満員電車に朝から疲労困憊だ。
「Aさん、元気ないですねー」
「満員電車にやられたの」
後輩にまで心配されるなんて、どれだけ顔に出てたんだろ。ああ、まだ1日は始まったばかりなのに。背伸びをして、社内を見回したら、なんとなくいつもよりザワザワしてる気がした。
そうか。今日はテレビの撮影の日だ。
誰かが来てるのか、なんのための撮影なのか、事務員の端くれの私になんて情報は回ってこない。
特別興味があるわけではないし、明日になれば元通りだしと思って、たいして気にせずにいた。
「えみちゃん、ちょっとコーヒー買ってくるね」
「はーい!ごゆっくりー!」
そんなことよりも一回リフレッシュしよう。温かいコーヒーでも買いに行こうと思ってテラス近くの自販機に向かえば、テラスでは何やら人だかり。こんなに混んでるなんて珍しいな、なんて思ったらカメラマンが見えたから、どうやら撮影をしてるらしい。
誰が来てるのか、ちょっと顔を見てみよう。それぐらいの気持ちだった。
人と人の頭の間から、何人かが座ってるテーブルの方を覗き込んだ。
「え、」
その瞬間時が止まった。
周りの音も、景色も、全部消えて、私とその人だけがそこにいるみたいだった。
何秒止まってたのか、分からないけど、誰かが肩にぶつかってハッとした。
「は、 はは、」
動揺する気持ちを抑えて、逃げた。
どうしてここに。見つかってはいけない。見つかるわけにはいかないの。
トイレに逃げ込んで、その瞬間全身から汗が噴き出した。
こんなタイミングで彼と再会してしまうなんて、どんな運命の悪戯なんだ。
「ねー!見た?」
「見た見た!やっぱりイケメンだね!さすがアイドル!」
「え?しげいたの?」
「今テラスにいるよ!」
「うっそ!行ってくる!!」
重岡大毅。
もう二度と会うことなんてないと思ってた。
「今日はデスクから離れられらんないな、」
いや、会ってはいけないのだ。
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aoi(プロフ) - チサ様 HPにも足を運んで下さってるなんて、ありがとうございます。ネタが被らないように頑張って書きたいと思います。またお時間のある際にお越し下さいませ(^_^) (2016年11月13日 13時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
チサ(プロフ) - HPの方も読ませていただいてます。こちらの作品もとても面白いです!更新頑張ってください(^o^) (2016年11月9日 2時) (レス) id: 8682789ece (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - はるち様 コメントありがとうごさいます。ハッピーなシーンも書けるよう頑張ります(=^x^=)ぜひまた見に来て下さい! (2016年9月22日 22時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
はるち - めっちゃ面白かったんですけど、少し切ないですね(T^T)これからも頑張れんれんo(^o^)o (2016年9月18日 22時) (レス) id: fb4b4f2984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aoi | 作成日時:2016年7月27日 1時