検索窓
今日:14 hit、昨日:0 hit、合計:82,811 hit

3 ページ3

.




今日も保育園に息子を送り届けて会社に向かう。どこかの路線が遅れてたのか、いつも以上の満員電車に朝から疲労困憊だ。


「Aさん、元気ないですねー」

「満員電車にやられたの」



後輩にまで心配されるなんて、どれだけ顔に出てたんだろ。ああ、まだ1日は始まったばかりなのに。背伸びをして、社内を見回したら、なんとなくいつもよりザワザワしてる気がした。

そうか。今日はテレビの撮影の日だ。

誰かが来てるのか、なんのための撮影なのか、事務員の端くれの私になんて情報は回ってこない。

特別興味があるわけではないし、明日になれば元通りだしと思って、たいして気にせずにいた。



「えみちゃん、ちょっとコーヒー買ってくるね」

「はーい!ごゆっくりー!」



そんなことよりも一回リフレッシュしよう。温かいコーヒーでも買いに行こうと思ってテラス近くの自販機に向かえば、テラスでは何やら人だかり。こんなに混んでるなんて珍しいな、なんて思ったらカメラマンが見えたから、どうやら撮影をしてるらしい。

誰が来てるのか、ちょっと顔を見てみよう。それぐらいの気持ちだった。

人と人の頭の間から、何人かが座ってるテーブルの方を覗き込んだ。




「え、」




その瞬間時が止まった。

周りの音も、景色も、全部消えて、私とその人だけがそこにいるみたいだった。

何秒止まってたのか、分からないけど、誰かが肩にぶつかってハッとした。



「は、 はは、」



動揺する気持ちを抑えて、逃げた。


どうしてここに。見つかってはいけない。見つかるわけにはいかないの。


トイレに逃げ込んで、その瞬間全身から汗が噴き出した。


こんなタイミングで彼と再会してしまうなんて、どんな運命の悪戯なんだ。


「ねー!見た?」

「見た見た!やっぱりイケメンだね!さすがアイドル!」

「え?しげいたの?」

「今テラスにいるよ!」

「うっそ!行ってくる!!」



重岡大毅。


もう二度と会うことなんてないと思ってた。



「今日はデスクから離れられらんないな、」




いや、会ってはいけないのだ。




.

4→←2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
128人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

aoi(プロフ) - チサ様 HPにも足を運んで下さってるなんて、ありがとうございます。ネタが被らないように頑張って書きたいと思います。またお時間のある際にお越し下さいませ(^_^) (2016年11月13日 13時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
チサ(プロフ) - HPの方も読ませていただいてます。こちらの作品もとても面白いです!更新頑張ってください(^o^) (2016年11月9日 2時) (レス) id: 8682789ece (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - はるち様 コメントありがとうごさいます。ハッピーなシーンも書けるよう頑張ります(=^x^=)ぜひまた見に来て下さい! (2016年9月22日 22時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
はるち - めっちゃ面白かったんですけど、少し切ないですね(T^T)これからも頑張れんれんo(^o^)o (2016年9月18日 22時) (レス) id: fb4b4f2984 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:aoi | 作成日時:2016年7月27日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。