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あれから彼が来ることはなかった。もちろん人気者の彼だから仕事が忙しいのだろう。

あれはたまたまそこにいただけだ。

同じ東京に住んでるんだから、そんなことがあったっておかしくない。




「紫音!買い物行くよー!」

「はぁい!」




だけど、どうやら偶然じゃなかったらしい。





2度目の再会は、不自然なくらいに冷静でいられた。






「A」





戸惑うことなく紡ぎ出された自分の名前に、違和感はなかった。




「紫音、ほら行くよ」

「ままぁ、おにーちゃ、だぁれ?」

「知らない人よ。ほら、行くよ」

「待って!お願いやから話を!」

「申し訳ありません。どなたですか?全く覚えがなくて」




彼は傷付いたような顔をした。

申し訳ないと思った。

だけど、こんな方法しか思いつかなかった。




「おにーちゃ?」

「ぼく、名前は?」

「しーくん、しおん!あのね、むらさきのおと!」

「紫音!知らない人にお名前教えちゃダメでしょ?

「紫音、か。そっか、紫音か、」




そんな泣きそうな顔をしないでほしい。



泣きたいのはこっちよ。



どうしてそんなに愛おしそうに頭を撫でるの。その子はあなたとは無関係よ。




「A、この子は俺の」

「父親は、いないわ。4年前に死んだの。この子が生まれる前に死んだの」

「なぁ、」

「お願いだから、もう来ないで、」

「ごめん、いくらAでもそのお願いは聞けへんわ」




そう言って、紫音を抱き上げた彼を見て、多分一気に崩れた。



必死に我慢してたもの全部溢れ出して、そのまま目の前の人を責めてしまいそうで、ギュッと手を握りしめた。




「何も気付いてやれんでごめん。ひとりにしてごめん。少しでもいいから、話させて」



その手を優しく包み込まれるから、もう認めるしかなかった。



ずっとずっと、この瞬間を待ってたんだと。


ずっとずっと、こんな景色が見たかったんだと。




「しょ、う、」

「ん」

「紫耀っ、」

「A」

「しょっ、」

「ここまで育ててくれて、ありがとう。」



この子を生んでよかったと、初めて心から思えた気がした。

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aoi(プロフ) - チサ様 HPにも足を運んで下さってるなんて、ありがとうございます。ネタが被らないように頑張って書きたいと思います。またお時間のある際にお越し下さいませ(^_^) (2016年11月13日 13時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
チサ(プロフ) - HPの方も読ませていただいてます。こちらの作品もとても面白いです!更新頑張ってください(^o^) (2016年11月9日 2時) (レス) id: 8682789ece (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - はるち様 コメントありがとうごさいます。ハッピーなシーンも書けるよう頑張ります(=^x^=)ぜひまた見に来て下さい! (2016年9月22日 22時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
はるち - めっちゃ面白かったんですけど、少し切ないですね(T^T)これからも頑張れんれんo(^o^)o (2016年9月18日 22時) (レス) id: fb4b4f2984 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aoi | 作成日時:2016年7月27日 1時

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