11▽重岡side ページ11
4年前、俺たちは友だちやった。
共通の人を介して知り合って、友人として良い関係を築いてた。
A達を見守ってるのは楽しくて、なんだか兄貴になったみたいな気持ちやった。
やけど、別れは唐突にやってきて、あいつは俺らの前から突然姿を消した。
「しげー？」
「ん？」
「しげはままのおともだち？」
「ん、せやで」
今となっては理由が分かったけれど、当初は裏切られたような、どうしようもなく悲しい気持ちになった。
こんな仕事をしてる以上、人が寄ってきたり離れていったりなんて良くあることやけど、こいつはそんなことをせん女やと信じてた。
俺もあいつも。
だからこそ、恨みそうにもなった。それでもAと過ごした日々を思い起こせばそんなこともできんかった。
「なぁ、紫音」
「んー？」
「ママのどこが好き？」
「んーとね、ままかぁいいの！」
「ふは、そっかそっか。かわいいよなぁ」
「まま、すき！」
「うん、せやな」
無邪気に笑うこいつは、どれだけ大事に育てられてきたんやろう。
きっと宝物のように愛でられてきたんやろう。
それほどに、あいつを愛してたんやろう。その愛情を感じるたびに締め付けられるこの気持ちに気付かへんほど、経験のない男やない。
なぁ、俺どうしたらいいかな？
お前らをもう一度引きあわせるべき？
それとも、
「紫音はままとふたりでさみしない？」
「んー！だってままだいすきだもん！」
お前と、こいつの幸せはどこにあるんやろなぁ。
「あついー」
「ほな、洗ったるから出ておいで？」
「あーい」
本当にかわいい。
子どもってこんなに可愛かったっけ？
こいつやから、かな。
「ほら、お湯かけるから目ぇつぶって」
「ぎゅー！」
「紫音は、パ、」
「パァ？」
「いや、なんでもないわ」
愛おしさを感じるからこそ、簡単には聞けんかった。
父親という話題に俺なんかが踏み込んでいいわけがない。
俺の単純な好奇心で、こいつらを傷つけるわけにはいかん。
「ほら、流してもう出るで。かぁちゃんが飯作ってくれてる」
「ごはん！」
「はは、腹減ってんのか」
「おなかすいたぁ」
俺が何をすべきか、何をしてやれるのか、分からへんけど、ただただふたりの幸せを願う。
あわよくば、なんて思いは胸の奥底にしまいこんで、幾重にも鍵を掛けた。
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aoi(プロフ) - チサ様 HPにも足を運んで下さってるなんて、ありがとうございます。ネタが被らないように頑張って書きたいと思います。またお時間のある際にお越し下さいませ(^_^) (2016年11月13日 13時) (
レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
チサ(プロフ) - HPの方も読ませていただいてます。こちらの作品もとても面白いです！更新頑張ってください(^o^) (2016年11月9日 2時) (レス) id: 8682789ece (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - はるち様 コメントありがとうごさいます。ハッピーなシーンも書けるよう頑張ります(=^x^=)ぜひまた見に来て下さい！ (2016年9月22日 22時) (レス) id: f81c6301ac (このIDを非表示/違反報告)
はるち - めっちゃ面白かったんですけど、少し切ないですね(T^T)これからも頑張れんれんo(^o^)o (2016年9月18日 22時) (レス) id: fb4b4f2984 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aoi
| 作成日時：2016年7月27日 1時
