＃181．束の間の ページ7
*
〈今度時間あったら電話でもしない？〉
そんな連絡が入り、珍しいと思いつつも承諾。ライブ終わりのある夜に約束を取り付け、今日がその日だった。
「もしもし？」
『もしもし、ご無沙汰してます』
「うん、久しぶり。電話、ありがと」
『こちらこそ。……でも何かあった？』
「いや、全然何もないけど、最近現場でもずっと会えてないからお嬢が元気かどうか気になって」
『……ご心配おかけしてます』
「ううん、大丈夫？最近色々と忙しそうだけど。……というか今はどこにいんの？」
『今日はね、大阪。昨日は福岡と熊本。その前は宮崎』
「おお、飛び回ってんな」
『今月は空にいる時間のほうが長いかも笑』
「それは………そうなの？笑」
冗談だよとも強ち言い切れないのが現状。電話のお相手は、優しい人だから否定もしない。
『あっ、大輔さん。来年は高知に行くよ』
「おかんから聞いたわ〜、当たったから行ってくるって」
『私もママDから連絡来てた笑』
「ライブ後にウチ寄るんでしょ？」
『そうそう、次の日の仕事が昼からで時間あるし久しぶりにお邪魔しようと思って』
「俺はその日帰れねぇなぁ」
『大輔さんは超人気声優だからなぁ』
「お嬢は国民的アイドルだからなぁ」
「『.........www』」
『そういやこの間のグループの打ち合わせでね、今までのライブ映像を振り返る機会があったのよ』
「それは嵐の方？」
『そうそう。でさ、2007年のツアーで、私、ハルヒの格好してハレ晴レ歌って踊ってて』
「あぁ、覚えてるわ〜。そのツアー見に行って、めっちゃハルヒじゃんって思ったの覚えてる笑」
『あれ、God knows...歌おうとして、バニーはやめなさいって事務所に言われて制服姿になったんだよ』
「バニーはやめなさいって俺でも言うわwww……あの頃、フェスでもハレ晴レ踊ったなぁ」
『トモさんヤバかったやつね笑』
「あれね、当日は俺必死に踊ってたから知らなかったけどさ、後でDVD見返すと....っ、あれは笑ったねwww」
『さすがでしかないwww……そう考えると、この間のランティス祭で集まれて本当良かったよね』
「SOS団、5人揃うのは12年振りだっけか──」
話は尽きなかった。まぁ、それは大輔さんが聞き上手ってのが大前提だけれども……
ただ、この緩い会話の先に何を求めているのかと問われたら、それは平常とか、日常とか、そう言った言葉が当てはまるのだろう。
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作者名：r | 作成日時：2024年2月3日 18時
