備忘録 V (ページ39)

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＃210．Smile ページ39

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　新型コロナウイルス感染拡大防止を支援する活動「Smile Up！Project」の取り組みの一つとして、チャリティーソングの制作が決定した。

　Mr.Childrenの櫻井和寿さんによって書き下ろされた「smile」を、各グループごとにパート分けして歌う。

　私は2グループ分歌うことになる。そのため、グループ分に加えてソロパートを打診された時には丁重に断ったのは記憶に新しい。

〜♪

『泣いてたことなんか、忘れるくらいのSmile Smile』

〜♪

『明日の今頃は、陽気な歌でも歌っていようよ』

〜♪

『そうAll you need is only smile』

〜♪

　安定の上ハモが、歌っていて心地良い。でも、こんな大勢で歌うことも久しぶりで、パートの少なさにちょっと物足りなく感じるけど、ソロを断った手前、口が裂けても言えないことだった。

「Aちゃん、最後少しだけ柔らかくできる？」

『はい』

「あと、───」

　レコーディング室にはメイキングカメラが入っており、それに加えて自分の密着カメラも入っているものだから、なんだか窮屈そうだなと思いながらも、音響さんに言われたことを歌詞カードにメモした。

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『あっ、ご無沙汰です』

「お〜久しぶり。元気しとんか？」

『うん、元気ですよ〜』

　嵐とエイトで衣装を変えなければならず、一旦レコーディング室からはけると、そこにいたのはKinKi Kidsの剛くんで、時間もあるからと少し談笑。

『なかなかないですよね、衣装で歌録り』

「珍しいよな。もう終わり？帰んの？」

『いや、これからまた着替えて別パート録りです』

「大変やな」

『他人事…』

「そりゃそうや、まぁ頑張れよ」

『ありがとうございます』

　他にも後輩や先輩と遭遇し、それぞれと少しずつ会話をしながら待ち時間を過ごす。と言っても感染症対策で少人数のレコーディングであるため、そこまで長くはなかった。

〜♪

『蹴りをつけなくちゃね、その悲しみに』

〜♪

『誰かに憧れて身に纏うだけの style style』

〜♪

『本当は偽物と分かってて』

〜♪

『だけど忘れないで君の笑顔に逢える』

〜♪

『それだけで生きていける僕がいる』

〜♪

『そうAll you need is only smile』

〜♪

　歌い終わり、一呼吸つく。音響さんのオッケーが出て外に出るとそこにはメンバーがいて。

　なぜか、ほんの少しだけ泣きそうになった。

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