備忘録 V (ページ30)

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＃201．SENA's Diary II ページ30

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　渋谷すばると錦戸亮。

　エイトメンバーの間でかつて気まずいコンビと呼ばれた二人(今日の撮影のために少し勉強してきた)。

　その二人の関係性が好きだと昔から常に語っていたのが瀬那さんだった(何かの雑誌で話していたらしい)。『亮のすばる愛が強すぎるもんねぇ』と、今も笑いながら話している。

『でも今日、来てくれると思わなかった』

「俺も呼ばれると思わんかったわ」

『ふふ。……来てくれてありがと』

「その分、お前にギャラ要求するからええで」

『うん。今ならなんでも奢れると思う』

「珍し。金の亡者のお前の口からそんな言葉出るんや」

　二人の会話のテンポは、聞いていて気持ちいいと感じる。マブダチというか、昔からのツレ、のような落ち着き。

　只管に(いい意味で)どうでもいいような内容のやりとりを進めていく中、瀬那さんがついに核心を突く言葉を投げかけた。

『私が2グループを兼任してること、実際どう思ってた？』

　何気ない会話の中から、そんな言葉が飛び出すと思わなかったため、僕を含めたスタッフたちは焦ったような、でも言葉の続きが気になるような、そんな気持ちでいたと思う。

　そんな中で渋谷さんだけは驚きもせず、ただ笑って告げた。

「どうも思わん」

　刹那ハッとするスタッフたち。さすがにこれは場が凍ったかと思われた中、今度は反対に瀬那さんが笑い出した。

『だろうね、すばるだもんね』

　あぁ、この二人の空気にはついていけない。

　二人だけの雰囲気があって、テンポがあって、関係性がある。

　断じて二人に割って入ろうとしたわけではない。ただなるべく穏便に、怖がっている心を見せてくれた瀬那さんを見守ろうと思っていただけ。

　でも、それさえも二人は許してくれなかった。

「Aのことに一々文句つけてたらキリないしな」

　そんな一見棘のある言葉にも『ハハッ、確かに』と嬉しそうに笑っている瀬那さんを見て、嵐としての瀬那さんとはまた違った雰囲気を感じた。

　公の話で言うと、SNSは相互にフォローしあっているし、瀬那さんに至ってはときどき渋谷さんの投稿にコメントしているときもある(渋谷さんはほとんど無視状態だが)。

　瀬那さんは有料のブログで渋谷さんの名前を出しているときもあるし、互いの誕生日には、おめでとうとSNSにあげていることも知っていた。

　ただ、その場でしか得られない温度感なるものがあるのだ。

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