備忘録 V (ページ3)

今日:49 hit、昨日:26 hit、合計:13,452 hit

＃177．JET STORM ページ3

*

『やっぱ外国語って難しいね』

「うん、そうだねって……なにを急に」

　ジャカルタでの記者会見が終わり、ファンの方々のところへと向かう途中、そんな話を潤くんとする。

　英語はまぁ勉強しているから置いておいて、インドネシア語には初めて触れたし、なにより伝わっているのかどうかが全くわからないというのが未知なところ。

「それよりA、マジで気をつけてよ」

『わかってるよ、……心配性だ……』

「なんか言った？」

『イイエ、ナニモ』

「ここを出て車に乗るまでの動線は、ファンの人との距離が近くなるんだから」

　実際に触れ合える距離にいくということは、何かされてもおかしくないわけで。

　そして狙われるとしたら高確率で私だろう。

　SPもいるし、一番はそんなファンの人がいないことを祈るだけだが、無いとも言い切れないのが現実だ。

「Aの周りはSPで囲んでるから安心して。それと、無闇矢鱈に触れ合おうなんてしないでよ」

『柚ちゃんまで……』

「万が一のことがあったらいけないからね」

　こういうとき、女って物理的に弱いんだなってつくづく思う。女で一括りにするべきではないのかもしれないけれど、これはあくまでも一般的な話。

　男グループの中にいる女一人がどれほど弱いか。
　そして、どれほど強くあろうとするか。

　それを身に染みて分かっているのは私。

　せっかくのJET STORMの機会。迷惑をかけないためにも、万が一のことがないようにしたい。

*

　無事に車へ戻り、そして次はシンガポールへと向かう機内。先刻と同じ座席に座り、台本を手に取る。機内での記者会見もあり、写真撮影にSNS投稿と、皆が皆、慌ただしくしていた。

「着いたよ〜ほら行くよ〜みんな」

「あっ、マーライオンだ」

「これがマーライオン？」

「相葉マーライオン」

「『www』」

　嵐の公式Instagramのストーリーズに載せる動画の撮影中にはそんな変なことを言い合って、和気藹々とした雰囲気が醸し出す。

　嵐だなぁ、この感じ。

　特別仲良くしようとか、仲良しを売っていこうなんて考えてもなかったけど、嬉しいことに周りの人からは仲良いと言われるし、自分たちでも仲良いと思うほど空気感は和やかだ。

「は〜い大ちゃん、は〜い翔ちゃん」

「ハロ〜」

　記者会見までの道のりでもストーリーズの撮影をする潤くん。

　これは話題になるだろうなぁと思ったのはここだけの話。

*