＃47．前日譚：自由への想い ページ5
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「自由になりたい」
嵐・リーダー大野智が放った言葉に私たちは体が固まった。つまり、解散したいということなのか、はたまた脱退したいということなのか。彼の自由が何を示しているのか。
そんな具体性のない言葉の中に、解放を求めるという強い意志があることだけははっきりと認識できた。
「おーちゃん、それって」
「嵐から抜けたい。脱退して、仕事自体を辞めたい」
前日、さとくんから〈話し合いたい〉と連絡があった時点である程度の予想はしていた。もうすぐ20年という節目。前々から辞めたいと思っていたなんていうニュアンスの言葉はよく聞いていたし。ついに来たか、という感覚だった。
明日は和の誕生日でありワクワク初日を控えている。そんな今日、私たちはある種のスタートラインに立つことになった。
「これは、すぐにどうこうできる話ではないし、兄さんもそんなこと求めてないのはわかってる。だから時間かけてゆっくり話し合っていこう」
おそらく翔くんも覚悟が出来ていたのだろう。いや、みんなそうなのだろう。伊達に20年やってきた訳じゃない。少なくとも自由になりたいと考えてしまうほどに、無我夢中でこれまで進んできた。
『さとくん、勇気出して言ってくれてありがとうね。多分長い間、ずっと言えずにいたでしょ？』
一人の意思で抜けたりグループを畳んだりなんてことは、そう簡単なことではない。ファンの方がいてくださる限り、感情だけで動くことができないのが芸能人。ましてやアイドルグループのリーダーであるさとくんとなると、より慎重に考えなければならない。
でも、その反対も言える。ファンの方がいるから、グループがあるから、メンバーがいるから…そんな理由でさとくんを縛ることなんてできない。これから先、どのような結末になるのかわからないけれど、今はただ何年も抱えてきただろう想いを、言葉にしてくれたことに感謝する他なかった。
『というか和、日付変わったのに全然お祝いの連絡こないね』
「それより先に言うことあるでしょw」
『はい誕生日おめでとーう』
「「「「おめでとー！」」」」
「毎年俺らの他に連絡こないの？笑」
「ほら、俺は友達、嵐しかいないから笑」
『……よかったね〜、嵐で。少ない友達無くさずに済んで』
「大丈夫、ニノ。俺もそんなもんだから」
『悲しい、悲しすぎるよその慰め…』
「Aも友達多そうに見えてそうでもないでしょ」
『……それ言っちゃう？』
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作者名：r | 作成日時：2023年4月29日 20時
