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「俺が運ぶよ」
「だ、大丈夫だよ!」
洗濯カゴを持った浮所くんに私は慌てて首を振った。
浮所くんの手を煩わせてしまうわけにはいかないから⋯⋯。
「いいから。こんなのAちゃん一人じゃ持てないでしょ」
「で、でもそれだと浮所くんの練習時間が⋯⋯」
「これくらいすぐだよ。
ていうか、俺も部室に忘れ物を取りに行くついでだから」
「⋯⋯ありがとう」
結局は、浮所くんの優しさに甘えてばかりだ。
マネージャーは、部員をサポートすることが役割なのに
私がいつもサポートしてもらっている。
こんな私は、マネージャー失格だ⋯⋯。
「行こっか」
「う、うん」
それに⋯⋯浮所くんといる時間がこうやって増えて
喜んでしまう自分がいる。
大好きな浮所くんの隣にいられることに。
⋯⋯私って、嫌な女だ。
「洗濯なんて急がなくても平気だからね。ゆっくりでいいよ」
「うん⋯⋯」
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浮所くんにカゴを運んでもらい、洗濯物を外に干し終えた私は
体育館に戻ろうと、足を踏み入れたときだった。
「ねぇ、さっきの見たー?
Aさん、浮所くんにまた媚び売ってたんだけど」
⋯⋯え?
中から聞こえてきた話し声に、私は慌てて壁に隠れた。
「Aさんって、浮所くんに構ってもらいたいから
わざとやってるんじゃない?」
「分かる。本当に計算高いよね〜」
「浮所くんの邪魔になってるってなんで分かんないのかな」
⋯⋯⋯また、だ。
こういう噂話を囁かれることは、珍しいことではなかった。
浮所くんはかっこよくて、バスケ部のエースで
成績は学年トップ。⋯⋯そんな彼がモテないはずがない。
バスケ部のマネージャーさんのほとんどが
浮所くんに想いを寄せているという噂を聞いたこともある。
だからこそ、浮所くんの手をいつも煩わせている
私のことを快く思っていないようで⋯⋯。
構ってもらいとか、計算しているわけではないけど
私が浮所くんにとって邪魔になっているのは紛れもない事実だ。
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kp-0523 - あの胸キュンスカッとはすごくキュンキュンしました。いちご・オレさんよければ更新お願いします。 (2022年2月10日 15時) (レス) @page4 id: 279a74799a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちご・オレ | 作成日時:2021年9月26日 1時