40.目は口ほどに物を言う ページ8
ケビンが私の隣にそっと座り他愛もない話から始まった。
「日本は寒いな。」
「そうだね…」
「今、どうしてんの？」
「なんとか暮らしてる。」
「なぁ、どうしても一緒に帰る気ない？」
「……。」
まだ私を求めてくれるのが嬉しくないワケじゃない。
ただ、もう人を信じて傷つくのが怖い。
「アメリカに帰ることがあってもケビンとは帰らないよ。」
そう告げると隣に座っていたケビンが勢いよく立ち上がり突然私を抱きしめてきた。
「Aっ！帰ろう、なっ？
もう2度と裏切ることはしない！
だから…っ、」
「いやっ！何するのっ！？
離してよ！！」
「離さない…、絶対！
Aは俺とアメリカに帰るんだ。
そうだ。それで結婚して子供をたくさん作って幸せになろう。」
ちょっと本当に何を言ってるの？
支離滅裂だし様子がおかしい。
「やめっ…！」
ケビンの目を見れば血走っていて背筋が凍った。
怖い。
逃げなきゃ。
絡まる腕を必死に解こうとするも男の人の力に敵うわけなくて。
このまま拒み続けたら私、
もしかして……
なんて最悪の事態が頭の中を駆け巡る。
ああ。
なんてバカなんだろ？
もう懲りたはずなのに。
一時の情でまたヌケヌケと姿を現して。
これじゃあ私は一生変われない。
そう悟って諦めかけた、
その時、
「うわっ！」
「！？」
ケビンが何かに驚き
その反動で私の体を解放した。
ケビン越しに見える
その姿。
「あーあー。
何してくれんのよ？
アンタのコートが俺のアイス食っちゃって。」
深くかぶったキャップと大きなマスクからは目しか見えない。
だけどその目は語る。
ケビンを威嚇してるノニさんを。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3617人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やっち(プロフ) - ええっ終わりですか？残念です (2022年3月21日 20時) (
レス) @page18 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
大翔 凛(プロフ) - 私も、ミイチゴさんの作品ニヤニヤしながら楽しませて頂いています！！お子さんも大きくなられてお忙しいところだとは思いますが、もし、また新作を作って下さったら、光の速さで拝見しに行かせて頂きますね！ミイチゴの小説の世界観がとても好きです！ (2020年11月14日 23時) (レス) id: fc915f7be8 (このIDを非表示/違反報告)
大翔 凛(プロフ) - はじめまして！失礼します！ (2020年11月14日 23時) (レス) id: fc915f7be8 (このIDを非表示/違反報告)
なみ(プロフ) - お久しぶりです!伏線回収ありがとうございます!あの件､彼は人の旦那という小説のネタになりそうな肩書を手に入れただけ!と考えて乗り越えたので最後の一文とても嬉しかったです笑楽しみにしてます!寒い日が続きますがミイチゴさんも息子さんも体調崩されませんように｡ (2019年12月25日 2時) (レス) id: 12423921ab (このIDを非表示/違反報告)
あいか(プロフ) - 御出産おめでとうございます！ミイチゴさん見ないと思ったら！たしかにリアルは今色々辛いですよね。でも不倫モノはちょっと、いやだいぶ見たいかも(^^)結婚をきにラブシーン多めな恋愛ものとかドシドシ出て欲しいですねー！！ (2019年12月2日 23時) (レス) id: cdf38c3a4d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2018年3月31日 8時
