10.TRY ME ページ10
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「だから私は人を信じたくないんです。」
「……。」
「ただ失うモノも何もないので何も考えず出会ったばかりの貴方に甘えます。
どうしようもないバカな女ですけど
こんな私でもいいですか？」
断られてもおかしくない言い方。
でもまた信じて傷つくのはゴメンだから
はじめにちゃんと言っておかないと。
そう思いつつ相手を傷つけていないか
少し不安になりながら顔を覗くと
彼は私の目を真っ直ぐ見つめ即答した。
「いいよ。採用。」
「え？」
「これからよろしくお願いします。」
「な、なんで？」
「そんな事されて相手を咎めるわけでなく自分がバカだったと言えるトコと…そうだな、"信じたくない。"ってとこ？」
「雇われる人間が雇う人を信じないんですよ？」
「信じたくないだけで信じれないワケじゃないんでしょ？」
「……。」
「どうする？やる？やらない？」
「…本当に私でいいんですか？」
「信じてもらえるように努力するよ。」
眉毛を下げてふふって笑う。
ああ。
きっといい人。
また簡単にそう思ってしまう。
「お名前…なんていうんです？」
「俺？」
「はい。」
「櫻井。」
「さくらいさん…。」
「うん。櫻井翔。」
「ミスター・ショウ・サクライ？」
「ははっ、ショウサクライ。」
「…Master Sho Sakurai.」
「そう。今日からキミの
そう言う彼は一見穏やかに笑い
手を差し出す。
この笑顔が単なる親切心からなのか
何か裏があるからか、は知らないし
この人の素顔が天使だろうが悪魔だろうが
どっちでもいいや。
差し出された手を握るまで。
「よろしくお願いします、ご主人様。」
だって今日からこの人は、私の
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年11月27日 18時
