07.華やかな部屋、実は… ページ7
ごくり。
転がってきたオイシイ話に唾を呑み込んだら
ポーンという音と共に着いた32階。
「とりあえず話は中に入ってから。」
「は、はい！
是非とも話を聞いてくださいませ！」
「ふはっ！
態度が急に変わったけど？」
だっ…てぇ！
寝床と仕事を与えてくれるって、
無一文で見知らぬ土地を彷徨ってる私みたいな人間は食いつくでしょ！
フンフン鼻息を荒くしながら彼の後をついて行くと着いたのは1番奥の部屋。
鍵はキーレスらしくドアノブのとこにあるボタンをぽちっと押したら簡単に開いた。
どこまでもスマート。
「ちょっとばかり散らかってますけど、
どうぞ。」
「お、お邪魔しまーす…。」
どきどき。
緊張しながら立ち入るとそこは…
「あれ？」
想像してたのと少し様子が違った。
ソファには山積みにされた新聞や服。
キッチンにはビールの缶が転がってて、
床にはダンボールや本が大量に置かれている。
ちょっとどころか
この素敵なマンションから想像する部屋と違って散らかりまくりのザ・男部屋だった。
こんなもの？
普通の日本人男性の一人暮らしって？
いや、一人暮らしと決めつけるのは早い。
こんな金持ちイケメンに女がいないのはオカシイし。
「ビックリした？
実は引っ越してきたばかりで、この通り。
荷物はまだダンボールのまんま放置してあるの。」
「あ。そうなんですね。
どうりで汚いワケだ…。」
「気のせい？今汚いとかいう右ストレート喰らった気がするけど。」
いや、だって、これ…
お世辞にも綺麗に片付いてるとは言えない。
それどころか荒れ放題。
「早く片付けたいんだよね。」
「そうですね。私もそう思います。」
「でも、俺、なかなか時間が無くてさ。」
「お仕事お忙しいんですか？」
「あー…、そう。ははっ、まぁね。」
「何をされてるんです？」
「んー……、それは秘密。」
唇に人差し指を添えてウインクしながら誤魔化された。
怪しい。気になる。可愛い。
「で。ハウスキーパーを雇うことにしたんだけど、なかなかいい人がいなくてね。」
ハウスキーパーって。
相当お金持ちじゃないと雇えないのに。
ホント、一体何してる人なんだろ？
ますます気になる。
「で、そこにハウスキーパーを雇う上で絶対譲れない条件をクリアしたキミが現れた。」
「譲れない条件？」
「職業上、なかなか難しくてね。
やっと見つけた。
だからキミが東京に来てまで無一文ホームレスをしてた理由が聞きたい。」
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年11月27日 18時
