04.1ドル未満の勇気 ページ4
「ちょ…、
一旦落ち着こう。
俺が泣かせてるみたいで周りの目が痛い。」
人通りの少ないこんな路地裏でも
気づけば通行人が私たちの様子をジロジロ見ていた。
そりゃそうだ。
涙と泥にまみれた怪しい女と
小洒落たスーツに身を包んだ好青年。
痴情のもつれにしか見えないよね。
それもしつこい女がすがってるみたいに。
「ごべんなざい…。」
「ぶっは！！」
顔を上げると同時に彼が吹き出した。
「や、ごめん。
でも、なかなか面白い顔してて。」
「へっ？」
「初対面で鼻水垂れ流してる女性に会ったのは初めてで対処の仕方が分かんない。」
ぎゃっ！
鼻水って！？
嘘っ！？
じゅるる〜っ！
慌てて鼻をすするとものすごい音が。
「はい。どうぞ。」
屈んだ彼は大きな傘で周りから私を見れないように隠しハンカチを顔に押し当ててきた。
それから雑にワシャワシャと顔を拭く。
「フゴフゴ！」
「おし、これで綺麗になった。」
悪戯っ子みたいに笑いながら
私の汚い顔面を拭いてくれた彼は…
大きくて、くりっくりの目に
高く綺麗な鼻筋。
口元は紅くふっくら色気があって。
思わずぽー…と見惚れてしまうほど。
「……。」
「………何か？」
「あ、いや！
ありがとうございました！！」
「……。」
「どうしました？」
「いや…、それだけ？」
「え？あ！ハンカチですか！？
えっと…その、私今、無一文で。
この小銭しか無いんですが新しい物を買う足しにしてください！！！」
ばっ！と勢いよくドルと円の混ざった全財産を渡す。合わせて100円にも満たないけど。
じぃーーー…と、顔を見られる。
で、す、よ、ね！
でもこれが今私に出来る全力の誠意。
さあ、どうぞ！
受けってぇぇぇーーーーー！
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年11月27日 18時
