ストロベリー・ディスコ (ページ29)

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29.ごめんねページ29

突然のキラースマイルに食器を片付けながら心臓のハクハクをバレないようにする。

当の本人はまたソファに寝転がりスマホの画面を指でくるくる始めた。

…のは、わずか10分間のこと。

すぐにキッチンからでも聞こえるくらいノニさんの寝息が聞こえてきた。

やっぱりお疲れなんだな。
でも、どうしよう？
起こすのもアレだし毛布掛けておこうかな？

音を立てずにコソッとリビングを抜け出し、私の部屋のウォークインクローゼットから毛布を持ってまたリビングに戻る。

そこでやっとある異変に気付いた。

静かなリビングに響く不規則な寝息。

あれ？
何かおかしい…。

「ノニ…さん？」

仰向けになって寝ながら手の甲で目元を隠しているノニさんの手を退けると寝息と言うよりも、うなされているみたいで。

顔は赤く息は荒い。

思わずその額に手を当てると、

「うそ！すごい熱！」

虚ろな目で私を見上げる姿はほんの数分前まで私に意地悪を言ってた人とは別人。

弱々しく「大丈夫。」と言って立ち上がろうとする。

「ああ…っ！」

だけど、立つことすらままならなくて
咄嗟にフラフラなノニさんの身体を支えた。

「…ごめん。」

「気にしないでください。
それより大丈夫ですか？」

「うん。風邪引いたみたい。」

「では、このままお部屋に行って後でお薬とお水持って行きますね。」

「ごめんね。」

「だから気にしないでください。
今は自分の身体のことを…」

「オムライス。」

「え？」

「せっかく作ってくれたのに美味しそうに食べれなくて、ごめん。」

あ…。

ノニさんは気づいてたんだ。

私が勝手に落ち込んだこと。

それでいてこんな体調でも残さず食べてくれて…

「ノニさん。
早く良くなって、また私の作ったオムライス食べてくださいね。」

「…くふっ、重い女。」

この人は一見ぶっきらぼうで意地悪だけど、本当はすごく人のことを見ていて気遣いが出来る、

優しい人なんだ。