26.白いカラス ページ26
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「ただいまー。」
「お帰りなさいませ、櫻井さん。」
「ちゃんと一人でお留守番、出来た？」
「も…、もちろんですよ！
こんなの朝飯前ですよ！」
「ははっ、ごめんごめん。
今の完全に子ども扱いだよなー。
つか、いい匂い。
今日のご飯なに？」
「今日はノニさんリクエストのオムライスです。
あとマカロニグラタン。」
「え？」
「え？？」
「いや、なんで俺の大好物知ってんのかなー、って。」
「オムライスですか？」
「後者の方。」
「マカロニグラタンでしたか！
よかったー、作って。
すぐ温めますね。」
「メイドさん最高かよ。」
23時すぎ。
仕事から帰ってきた櫻井さんは何も言ってくる気配は、ない。
私が謎の美人と遭遇したことすら知らないのかもしれないけど。
だから私も何もなかったかのように接する。
「ぅんめぇ！」
「はぁー、良かったー…。」
しかし櫻井さんの大好物がマカロニグラタンとは…。
全く、カワイイ限り。
夢中になってはふはふ食べる姿を見つめてたら急にその手が止まった。
「今日は何してたの？」
「え？」
そしてポツリ。
私に尋ねる。
「何か変わった事、あった？」
「…。」
何の駆け引きだろう？
見つめるその瞳が私を試しているよう。
はふはふ可愛いかったお顔は一転、無表情。
無言のプレッシャーを感じる。
ゴクリ。
ひとつ大きく息を呑む。
「ない…ですよ。
何事もなく無事に過ごしておりました。」
「…そっか。
それなら良かった。」
無だった顔がふわっと緩んで
眉毛をハの字に下げて笑う。
私は何を試されたんだろうか？
ただ…
櫻井さんはなにも言うつもりないし、
何もなかったことにしてる。
それなら私もそれに合わせるだけ。
ご主人様がカラスは白いと言うのなら
カラスは白。
私は何も見ていない。
誰にも会っていない。
これでいい。
.
こうやって私はご主人様との主従関係を確立したのだ。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年11月27日 18時
