干物女、恋愛するってよ。5 (ページ45)

今日:15 hit、昨日:28 hit、合計:1,572,571 hit

202.告白するってよ。ページ45

相葉さんが小さい声で店主に
「おじさん、こっちこっち！」と呼んで
暖簾の中は私たち2人だけ残される。

みんな、私たちに気を利かせてくれたんだよね。

ってことは…

どうしよう！！
ドキドキが止まんない！！！

「会いたかったのにはそれなりに理由があるわけで。」

「うん。」

ドキドキ…

「だから、その、つまり…」

「うん。」

ドキドキ…

「…だぁーーーーッ！！！」

「わっ！ビックリしたぁ！」

「悪い。俺…ここまできて今さら怖気付いてる。」

「翔くん…」

「よし、もう一回！
今から大切な話をするぞ！」

「うん！」

隣に座っていた私の身体を向かい合わせにして
肩に手を置いて、始まる。

愛しきヘタレの告白が。

「最初は失礼なやつだと思ってた。」

「うん。」

「でも気がつけば、当たり前のように隣でビールを飲んで笑ってるお前に励まされてた。
なんつーか、嫌なことがあってもお前に会うとさウジウジしてるのがアホらしく思えて。
笑ってる方が人生楽しいでしょ？みたいなお前と一緒にいる時間がいつの間にか心地よくなってた。」

「うん。」

「でもある日突然、恋をするとか言い出すから何でかすんげぇ焦った。
それからお前の行動が気になって気になってしょうがなかった。」

「うん。」

「そこで気付いた。
あ、俺はこいつのことが好きなんだって。」

「…。」

「でもお前は違う男と付き合いだすし。
俺を突き放すし。
だから一回離れた。
でもそこでつくづく思わされた。
Aに会いたい。
Aの笑顔が見たいって。」

「うん。」

「会ってちゃんと伝えることだけ伝えようって。」

「うん。」

「A、好きだ。」

「うん…」

「ずっとずっと好きだった。」

「翔く…」

大好きなその名前を呼び切る前に
身体を引き寄せられ力いっぱいに抱きしめられる。

そして近づいてくる唇に
スッと目を閉じる。

もう言葉はいらなかった。