190.ヘタレと干物女 ページ33
しん…と
静まり返る車内。
私を心配してか相葉さんはハラハラした様子で
ルームミラー越しに私を見ている。
翔くんのことは好きかって…？
なんでそんな事を訊く…？
この人、何かのスパイ？
って返事に困っていたら
松本潤が先に話を続けた。
「翔さんはすげぇ仕事が出来る。
尊敬する先輩で俺ら後輩はみんな翔さんに憧れて、翔さんの背中を追いかけて頑張ってるの。」
「先輩アゲおつ！」
「本心からだよ。
まじで尊敬してる。
仕事に関しては。」
「仕事に、関して、は？」
「あの人、恋愛に関してはくっそヘタレで
一緒に飲んではいっつもヘタレ話聞かされてる。」
「翔くんはヘタレじゃないよ！
Tバックの好きなムッツリだよ！」
「それも聞いた。
Tバック好きとか勘違いされた、とか。
ムッツリとか言われる、とか。」
「なーんだ、翔くんそんな事気にしてたの？」
あははっ！
翔くんってば私の前では強がってるくせに
思ったより気が小さいんだ。
「変な社長に付きまとわれてるとか心配してたし。
誰かに恋してるかもって浴びる量の酒に逃げたりした事もあった。」
「あー、私も見たことある！
飲みすぎて泣き上戸になってたの。
へー、そんな理由だったんだ。」
「気づかない？」
「何に？」
はぁぁぁ…と大きくため息を吐く。
「翔さんが言うには翔さんの好きな人は
史上最強の干物女なんだって。
女子力は皆無、気づけばおっさん化が止まらないらしい。」
「あれ？翔くんそんなのが趣味？」
「終いにはバスタオル一枚で外に出てたらしいよ。」
「え！？Aちゃん、そんなことしたの！？」
相葉さんが私たちの会話に入ってきて
ようやく誰の話をしているのか気がついた。
「え…？
嘘でしょ？」
「今の話、心当たりがあるのなら
そういう事だよ。」
「心当たりしかないんだけど！」
「だから、訊いたでしょ？
アンタが干物さんかって。」
嘘だ！！
嘘だ！！！！
だって、そんな…！
ずっと私のことなんて
鯵の干物くらいにしか見てなかったはず…
「翔さんはアンタの事が好きだよ。」
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年3月18日 14時
