干物女、恋愛するってよ。5 (ページ16)

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173.干物女、失敗するページ16

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次の日、
私は朝から不機嫌だった。

なのに秘書課の先輩方は私に書類作成を押し付けて朝から男の話ばっかり。

もう、聞きたくないよー！

イライラが募る。

そして終業時刻目前のところで
事件は起こった。

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「ちょっと！
信じらんない！！
桐島さん、何よコレ！？」

「え？」

ボス秘書がある紙を見て突然騒ぎ出し
私の机にそれを叩きつけた。

社長の名古屋出張の為に取った新幹線の領収証を。

ごくごく普通の領収証で
そこには

『44360円
乗車代として上記金額正に領収致しました。』

と、書かれている。

何か問題でも？

「何でこんなに安いのよ！？
貴女、どの席で取ったの！？」

「え？指定席です…。」

「それ、指定普通席でしょ！？」

「え？あっ！
もしかしてグリーン車を取らないといけなかったとか…ですか？」

「最っ悪！！」

しーん…と静まり返る。

「やれもしない事を出来るなんて言わないで！」

ごもっともだ。

やりたくない、と思っても
引き受けたからには一社会人として
ちゃんと仕事はしたかった。

情けない。
不甲斐ない。

「本当に申し訳ございません！」

深々と頭を下げて誠心誠意込めて謝る。

だけど怒りに火がついた先輩方は次々と本音を漏らしながら私を責め立てた。

「だいたい何でアンタみたいな子が社長秘書なのよ！？」

「相葉さんにも色目使ってるし！」

「こんな人と一緒に仕事したくない！」

浴びせられる言葉にもグッと堪え
ただただ謝るしかない。

ずっと謝り続ける私にボス秘書は

「こんなくだらないお菓子を食べながら仕事してるからでしょう！？」

机の中に入れておいた
おっちゃんがくれた駄菓子を取り出した。

「あ、それは…！」

「相葉さんから貰って浮かれてんじゃないわよ！」

私を気づかってくれたおっちゃんの優しさは
勘違いした女のやっかみによって
バサッと音を立ててゴミ箱に捨てられた。