169.ご褒美 ページ12
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「もぉー、だから何度言ったら分かるのよ！？
社長のお見送りは最敬礼！
腰は45度曲げる！」
ゲソッ…。
疲れた。
精神的に。
移動1日目はひたすらに身だしなみや立ち居振る舞いをしごかれ干物女が干からびている。
「あ、やだ！もうこんな時間！」
それなのに3人は定時になるとそそくさと帰っていった。
ちょっとー！
新人をひとり置いてくなんて！
はぁ…とため息を溢しながらケータイを見ると
トリンドルからLINEが。
"A、そっちはどう？大変じゃない？"
トリンドル優しい！
心配してくれてるんだ！
"辞めるのなら早めにね！
私がその後釜狙ってるから♡
じゃあねー♡"
どいつもこいつもーーッ！！！！
「疲れた…。」
独り言を呟きながら机に伏せると
「もうギブアップ？」
「わっ！ビックリした社長かぁ。」
「なんだぁ。みたいな言い方すんなやー。」
パックのリンゴジュースをちゅう〜と吸いながら立ってる社長がいた。
「おいで。」
そして手招きをした。
.
「わー、ドラマみたい。」
連れてこられたのは絵に描いたような社長室。
窓際にある立派なエグゼクティブデスクがなんともそれっぽい。
この人、こんなんだけどやっぱり社長なんだなー。
「ここでお前は俺の右腕となって働くのよ。」
「出来るかなー？
不安になってきた。」
「誰だって最初は慣れない仕事に戸惑うさ。
あ、ほら、ここ座って。」
応接用の向かい合わせになったソファに座る。
ふっかふかー。
と同時に目の前の机にドサッと何かが置かれた。
「なに？あー！たこ焼き！」
「色々疲れてると思って。ご褒美。」
シャチョー！！
優しいとこあるっ！
今、優しさに飢えてるから心にしみる！
「ほら、食べさせてやるよ。」
「やだ、自分で食べれます。」
「却下。あーん？」
強引だなー。
でも、よだれが止まらないからしょうがない。
あーん… ♪
「あ、ごっめーん。
手が滑ったー。」
大口開けて待ってたらほっぺにズレて当たった。
完全にわざと。
たこ焼きのソースをベッタリ付けて。
「意地悪っ！」
「ほらほら、怒んないで。
その頬っぺたのたこ焼きはワタシが食べてあげるから。」
「え？」
次の瞬間ペロッと頬を舐められ
思わず硬直。
「ふふ、どうしたの？」
いやいや、ビックリするでしょ？
そう、ビックリしたのよ。
頬っぺたをたこ焼きって…
以前どこかで似たようなことあったな。って。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年3月18日 14時
