159.お持ち帰り手順 ページ2
あ、あ、あああ…
や、や、ヤ、やってしまった。
幾度かの危機を乗り越えて
一線を越えることだけは避けて来てたのに。
とうとう越えてしまった。
知らぬ間に。
「ふは、ふはははは…！
一体、どういう経緯でこうなったかお聞かせ願いたい。」
もう笑ってるわ。
いや、一周して笑いながらもう一回一周して結局泣いてる。
「はい？アナタまさか覚えてないの？
ひでぇ女！！」
「カラオケのとこまでは覚えてるんです。
そこから、どうなって、こうなった！？」
頭を抱える私に
社長はムスッとしながら説明を始める。
「歌声テロでみんなが起きてだ、」
歌声テロ？
誰の話！？
「テロリスト本人は歌いきって大満足で泥酔、」
は？待て！
私の話か！？
「社員を家まで送っていった
できた社長がいてだ、」
へぇー、そんな優しい社長いるんだ。
「それから社長はお前を持って帰ったとさ。」
ズコーッ！
何でそのまま前にならえない！？
「なんでそこで私だけお持ち帰りっ！？」
「今日は休みだし。
たまにはいいじゃない？
色々と訊きたいこともあったし？」
「訊きたいことって？」
私が問いかけたら
のそっと身体を起こした。
ちょ、ちょっと待ってーー！
あなた裸ーーー！！？
ん？
ベッドから出た社長を薄目で見たら
ちゃんとおパンツは履いていた。
恐る恐る自分の身体を見ると
自分も下着は身につけている。
あ、良かったー！
いやいやいや！
その上に着てたのは誰が脱がせたのよ！？
「お前…大野さんのこと好きだったんだ？」
ベッドの足下方向にあるクローゼットに掛けてあったスーツからタバコを取り出して社長が独り言のように呟いた。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2017年3月18日 14時
