51.真っ赤な嘘 ページ16
なんで？
なんでお隣のイケメンがここに？
パーシーズジャパンのサクライさん？
「……。」
「……。」
いや、待てよ。
これは他人の空似かもしれない。
ただの通りすがりの
なで肩なイケメンなのかもしれない。
よくいるもんね、なで肩なイケメン。
そんなにいるか？なで肩なイケメンの櫻井さん。
いや、いるよ、いるいる。
ゴロゴロしてる顔だよ。
ちょっとお目目がパチクリで
眉毛がキリリッとしてて
綺麗な鼻筋で
お肌ツルツルで
プルンプルンな唇。
そんなイケメン。
「…お前、何してんの？」
…、げぇ！！
当たり前だけど本物だ！！！
こんなクッソみたいなイケメンが
そこらにゴロゴロしてるわけがない！
ピシャ！！
思わず開けられた襖を閉める。
きっとこれは夢だ。
まさか翔くんが大事な仕事相手なわけないもんね。
「これは悪い夢だ。
早く目ぇ覚ませ！
A！目ぇ覚ませ！」
ポカポカ頭を殴ってたら
社長がこの手ぐっと掴んだ。
「ああ？
誰だよ、今のキラキラは？」
「え？社長にも見えました？
今のキラキラ。」
「お前のこと"お前"呼ばわりしてたけど。」
「や、社長もね。」
「なに？早速浮気？」
「浮気って…翔くんはただのお隣さんちの鴨。」
「"翔くん"！？
じゃあ俺は？」
「シャチョ。」
「バカヤロウ！
恋人を社長呼びする彼女がいるか！？
和也様と呼べや、コノヤロマイハニー！」
「重いコノヤロマイダーリン！」
「へー。"ダーリン"ねぇ…。」
「ん！？」
社長とくだらないやり取りをしていたら
先方は勝手に入ってきていて。
「改めまして今晩は。
パーシーズジャパンの櫻井と
パーシーズ本社のデビッド夫妻です。」
「Hi.」
「あー、よろしくどうぞ。
今回お世話になるninocoの二宮と…
コイツは婚約者の桐島Aです。」
「ッはぁ！！？」
真っ赤な嘘をついた。
うちの社長が。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2016年3月24日 22時
