いちごとすずらんが咲く頃に

21. ページ22

こ｢A！！！｣



こんな形相のころちゃんは見たことない。



私｢こ、ころちゃん…！｣

｢はぁ、ころんくん、俺君のことずっと苦手だったんだよね。俺からAの1番をいつもいつも奪ってさ、俺が1番を貰えるのはAだけだったのに。｣

私が好きだったのは先輩だよ。


｢親だって、俺が何しても兄貴には勝てなかった。Aだけ、Aだけだったのに…｣

先輩が1番にこだわってたのはこういう事だったんだ。



ふらふらと、先輩が近寄ってくる。


まずい…とっさに私は悟った。
けどもう動けない。


無理矢理私を立ち上がらせると、背中に刃物の冷たさを感じる。


こ｢っお前いい加減に……Aを離せ！｣


大きく深呼吸した。
ころちゃんを見たら少し、少し安心した。
大丈夫、何とかなる。



私｢先輩、私先輩の事本当に好きだった。


だけど、



……………だけど、先輩と居る時の私は、自分が自分じゃないみたいで嫌なの…！｣

｢うるせーよ！｣



刃物を大きく振りかぶった先輩に目を瞑った。

私｢っっいっ…！｣

声にならない痛みが走る。
けど、思ったよりも痛くない。

あぁ、やっぱり。
ころちゃんありがとう。




目を開ければころちゃんの胸に抱き留められてて、全身の力が一気に抜けるのを感じた。


ころちゃんが目一杯の力で腕を引いてくれたんだ。

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