実況免許1 ページ7
おびただしい熱気が、直接には見えないがらも伝わってきた。
なな湖は、ステージ前のこの時間が好きだった。出番を控えた者たちの緊張感と、あわただしく走るスタッフの忙しなさ。まるで盆と正月が一気に来たような光景の中に、自分がいることが奇跡のように思える。
｢う〜、緊張してきた……｣
｢めっちゃお客さん入ってるね、おばさんがんばっちゃうよ！｣
｢ズズが合図したらみんなで入場でいいんだよな？｣
｢そうそう！だから俺が喋るのよく聞いといて！｣
｢えー、ズーズーに指示されるのやだぁ｣
｢なんでそういうこと言うん！？｣
｢ねぇ俺の水これ？｣
｢愛ゴリｨ！どぅーん！！｣
｢もーうるさ……｣
｢あっななくん自撮りしてる！ナルシスト！｣
｢ちゃう！花直してるだけや！｣
メンバーを、スマホのインカメラ越しに見る。ﾀﾗﾁｵやとりっぴぃは場馴れしているからか、和やかに談笑していた。それ以外のメンバーは、どことなく顔が引きつっている気がする。
こいろちゃんのズズいじりも、場の緊張をほぐすためのものだろう。本当によく気が回る子だ。
そんなことをぼんやり思っていると、スタッフが走りながらこちらへ来るのが見えた。
｢ん？｣
なな湖は振り向き、スマホ越しではなく直接にスタッフを見た。彼の表情に焦りが見え、何かトラブルが起きたのかと身構える。
｢お忙しいところすみません！ステージに上がる前に、免許の確認をさせていただきます！｣
免許？なな湖はぽかんと立ち尽くす。周りのメンバーは理解しているようで、各自ポケットやバッグを漁っていた。
｢なな湖さんどったの？｣
にどみに声をかけられ、小声で疑問をぶつける。
｢免許ってなんや？｣
｢え、これだけど｣
にどみは薄いカードのようなものを、なな湖に見えるようにかざした。
｢『実況者免許』……？｣
【実況免許】
初めて見るものだった。なな湖は運転免許証は持っているが、それ以外の免許証の類は持っていない。
｢なんなんそれ？｣
｢えっ、なな湖さん知らないのけ！？｣
にどみが突然大声をだしたので、メンバーが一斉にこちらを見た。
｢なな湖さん、その……冗談とかナシで。免許持ってないってのは……本当？｣
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猫 - こういう話大好きなので楽しませてもらいました！ (2019年6月8日 0時) (
レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 連合さん» 違いますよ笑 登場人物も話も私のオリジナルではないので……でも褒めてくれてありがとう (2018年11月16日 21時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - 毎回思うんですが天才ですか？？？ (2018年11月11日 21時) (レス) id: bbfe7f8fa1 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 326さん» 意見ありがとうございます、こなくて泣いてました。他にコメントがなければその方針でいこうかと思います。あの、違ったら申し訳ないのですが、ロック伝説の方だったりします？ (2018年10月27日 22時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
326 - 死ネタはネタバレになるのでキャプションに書いてほしいです…楽しみに見てます… (2018年10月27日 21時) (レス) id: c19ba7aeed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミカケヒトシ | 作成日時：2018年8月5日 17時
