大海原の小さな島3 ページ23
ざらり、とした感触が頬に触れて目を覚ました。身体が無性に痛い。
昨日、結局どうやって帰ったんだっけ。顔を撫でてみたら、ぽろぽろと砂のようなものが落ちた。
まさか外で寝たのか！？辺りを見回すと、切り込みが入ったペットボトルが目に入った。なんだこれきったねぇな、そう思いつつ顔を上げると、見渡す限りの大海原。
｢あ、｣
全部思い出した。
CD発売の告知動画は、海辺での恋の歌だった。
『折角だし、海行こうよ！』
参加者の誰かがそんなことを言って、みんなで海に来て。クルーズツアーがあったから参加したら俺は船酔いして、船内にのこってゲエゲエしてたら甲板に行ったはずのきゅうちゃんが戻ってきてくれて二人で話してたら船がひっくりかえって救命胴衣をなんとかつけたけど流されてそれから────無人島に流れ着いたんだ。
他のメンバーがどうなったかは分からない。助かっていればいいなと思う。
そして、一緒に漂着したきゅうちゃんはというと。
『魚取ってくるね、待ってて！』という言葉を残して、海に入って行ったきりだ。それから、何回か朝日が登るのを見た。同じ数だけ夕日も見た。
俺は待っている。黒い髪からぽたぽたと海水をしたたらせて、彼(彼女)が陸に上がってくるのを待っている。たくさん取れたよと笑っているかもしれないし、全然取れなかったと申し訳なさそうな顔をしているかもしれない。どっちでもいい、俺を安心させて欲しい。
すぐ傍の地面に何かが埋まっていることに気がつき、掘り出してみる。何かのパッケージのようで、『歌手デビューぶいあーる』と印字されていた。
俺は、それを海に向かって放り投げた。しばらくぷかぷかと浮かんでいたが、流されたか沈んだかしたようで見えなくなった。
｢遅い、なぁ｣
口から漏れた言葉は、波の音にかき消されていった。
【危】
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猫 - こういう話大好きなので楽しませてもらいました！ (2019年6月8日 0時) (
レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 連合さん» 違いますよ笑 登場人物も話も私のオリジナルではないので……でも褒めてくれてありがとう (2018年11月16日 21時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - 毎回思うんですが天才ですか？？？ (2018年11月11日 21時) (レス) id: bbfe7f8fa1 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 326さん» 意見ありがとうございます、こなくて泣いてました。他にコメントがなければその方針でいこうかと思います。あの、違ったら申し訳ないのですが、ロック伝説の方だったりします？ (2018年10月27日 22時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
326 - 死ネタはネタバレになるのでキャプションに書いてほしいです…楽しみに見てます… (2018年10月27日 21時) (レス) id: c19ba7aeed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミカケヒトシ | 作成日時：2018年8月5日 17時
