アイミジン4 ページ17
｢ﾀﾗﾁｵ……！｣
ポケットに手を突っ込み、繁華街を一人で歩いている。
ふらふらとどこかへ向かうﾀﾗﾁｵに、走りよる人間が一人。それは紛れもなくバケゆかだった。
『危ないっ！』
『え？』
バケゆかがﾀﾗﾁｵを突き飛ばす。その瞬間、何かが落下する影と音。映像はそこで途切れていた。
｢あ……｣
全て、思い出した。
ﾀﾗﾁｵとひょんなことから口論になり、怒った彼はバケゆかから距離をとって歩き始めた。なんて言って謝ろう。そう思って空を見上げた瞬間、建設中の建物から鉄パイプが落ちてくるのが見えた。このままだとﾀﾗﾁｵに当たる。思うやいなや、足が動き出していた。そして────
｢僕は、鉄パイプの下敷きになって……死んだ｣
｢……そのようですね｣
親友を助けた挙句の死。そう思うと、バケゆかはむず痒い気持ちになった。そして、俄然来世への意欲が湧いてきた。
｢どうしようかなー、ﾀﾗﾁｵの子供になろうかな｣
｢……今現在、誕生の予定がない物件には入れませんよ｣
｢冗談ですって｣
｢はやく決めてくださいね、次の方が来ちゃいますから……ああ、噂をすれば。次の方がそろそろいらっしゃるようです｣
｢ほへ｣
｢ほへ、じゃありませんよ。ほら、そこの席あけて。ここにでも座っといてください｣
せんたんに促され、彼の隣の席に座らされる。座らされてすぐに、ノックの音が響いた。
｢どうぞ｣
｢あ、失礼しまーす｣
どこかで聞き覚えがある声だった。
｢……え？｣
｢あれ、バケゆか？｣
入ってきたのは、今しがた映像で助けたはずの男……ﾀﾗﾁｵだった。
｢鉄パイプ、ﾀﾗﾁｵの方にも飛んでいってたんだ……｣
せんたんによると、ﾀﾗﾁｵの死因は頭部損傷。地面に落ちた鉄パイプが反動で飛び跳ね、ﾀﾗﾁｵの頭部を直撃したらしい。
｢……なんか、ごめん。俺のせいでお前まで死んじまった｣
バケゆかがﾀﾗﾁｵを庇って死んだ、と判定されたのは、バケゆかの方が先に絶命したから、らしい。
｢ううん。僕が別の方向に押してれば……そもそも僕があんなこと言わなければ｣
｢いや、俺が｣
言い争う二人を、せんたんが咳払いで制した。
｢お会いできて嬉しいのは分かります。ですが、なるべくはやく物件を決めていただきたい｣
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猫 - こういう話大好きなので楽しませてもらいました！ (2019年6月8日 0時) (
レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 連合さん» 違いますよ笑 登場人物も話も私のオリジナルではないので……でも褒めてくれてありがとう (2018年11月16日 21時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - 毎回思うんですが天才ですか？？？ (2018年11月11日 21時) (レス) id: bbfe7f8fa1 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 326さん» 意見ありがとうございます、こなくて泣いてました。他にコメントがなければその方針でいこうかと思います。あの、違ったら申し訳ないのですが、ロック伝説の方だったりします？ (2018年10月27日 22時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
326 - 死ネタはネタバレになるのでキャプションに書いてほしいです…楽しみに見てます… (2018年10月27日 21時) (レス) id: c19ba7aeed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミカケヒトシ | 作成日時：2018年8月5日 17時
