アイミジン1 ページ14
｢ん、んぅ……｣
目を覚ますと、バケゆかは草原に寝っ転がっていた。
｢どこだ、ここ……？｣
土と草をはらって立ち上がり、周りを見る。見渡す限りの緑。
しばらく歩いていると、建物が見えてきた。童話に登場するような可愛らしい一軒家。看板には『不動産』と書かれている。
｢ふどう、さん。どうしてこんなとこに？｣
不審に思いながらも、ノックをしようとしたその瞬間。突如開いた扉から勢いよくニワトリが飛び出してきた。
｢うわっ！？｣
ニワトリは元気よく鳴きながら走っていき、徐々にその姿は見えなくなっていった。
【アイミジン】
｢な、なに今の……まあ開いたことだし、入ってみよう。お邪魔しま……す？｣
バケゆかが中に入ると、そこにはひとりの人間がいた。緑の迷彩服が可愛らしい内装にそぐわない。顔には、一つ目の布が被せられていた。
｢いらっしゃいませ。どうぞ、おかけ下さい｣
｢えっ、あ、はい。どうも……｣
声から察するに若い男のようだ。怪しすぎるが、今は彼に従うほかない。
案内されたとおり椅子に座ると、机を挟んだ向かい側に一つ目も座る。そして、近くにあったパソコンを操作しだした。
チャカポコと小気味よい音だけが響く。手持ち無沙汰になって、疑問をぶつけてみる。
｢あの、ここは一体……？｣
｢『来世不動産』です｣
｢……来世不動産？｣
｢はい。一つの人生の契約を終えた方に、次に生まれ変わる物件を紹介する場所です｣
｢契約……？それに物件、って｣
｢まぁ要するに、魂が次に宿る体のことです。あ、申し遅れました。私、先端恐怖症と申します。フレンドリーにせんたん、とでもお呼びください｣
｢は、はあ……せんたん、さん｣
｢せんたんで結構｣
｢せ、せんたん。僕はどうしてここに？｣
彼はパソコンから顔を上げ、こちらを真っ直ぐに見据えた。布とは言え、単眼に見つめられると少し怖い。
｢あなたの前の物件……言ってしまえば前の体ですね。それがあなたの魂と分離したんです｣
｢幽体離脱、ってことですか？｣
｢いえ。もう取り返しのつかない状態……端的に言えば、死んだってことです｣
｢は、死……！？｣
バケゆかは絶句した。
｢ご存知なかったですか？｣
｢生きてる時と感覚は変わらないし……それに、僕はまだ死ぬような歳じゃ｣
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猫 - こういう話大好きなので楽しませてもらいました！ (2019年6月8日 0時) (
レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 連合さん» 違いますよ笑 登場人物も話も私のオリジナルではないので……でも褒めてくれてありがとう (2018年11月16日 21時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - 毎回思うんですが天才ですか？？？ (2018年11月11日 21時) (レス) id: bbfe7f8fa1 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 326さん» 意見ありがとうございます、こなくて泣いてました。他にコメントがなければその方針でいこうかと思います。あの、違ったら申し訳ないのですが、ロック伝説の方だったりします？ (2018年10月27日 22時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
326 - 死ネタはネタバレになるのでキャプションに書いてほしいです…楽しみに見てます… (2018年10月27日 21時) (レス) id: c19ba7aeed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミカケヒトシ | 作成日時：2018年8月5日 17時
